昨日は散々な目にあったと思いながら教室に入るとクラスメイトが真っ青な顔をしていた。

「おはよう?」
「あ、直緒!」

私を見て安堵するクラスメイトに青江と顔を見合わせ首を傾げる。

「どうしたのさ」
「直緒は大丈夫だった!?」
「何が?」
「昨日通り魔が出たって……」

直緒の家の方って聞いたから心配になって……とクラスメイト。私が来るまで気が気じゃなかったらしい。
大丈夫だよ、と言うとクラスメイトは安堵の息を漏らした。

「通り魔ってそんなにやばいやつ?」
「襲われた人、怪我が結構ひどかったらしくて救急車で運ばれたって……だから直緒だったらどうしようって思って……」

そういえば救急車の音が聞こえた気がしたけれど、家より遠かったせいか、あまり気にしていなかった。
通り魔、通り魔かー……と青江を見ると頷いた。
やっぱり昨日私の後ろを付けてきていたモノのことのようだ。

「ストーカーの話の時もそうだったけど、自分に降りかかるって思うと現実味がないね」
「いいから気を付けなよ」
「うん」

始業のチャイムと共に教室に先生が入ってきてホームルームが始まる。
いつもとそんなに変わりのない連絡事項と、通り魔が出るから早めに帰宅を心掛けるように、と言って終わった。

ザワザワとざわめく教室内。やはり通り魔のことはみんなどこかしらで聴いているようであった。暢気に学校に来たのは私だけのようだ。

「代理。今日も天気が良いね」

青江が窓の外を見ながら言う。
声を出すわけにはいかず、ひとつ頷いて肯定。そして授業の準備をして、ペンケースからシャープペンシルを取り出した。
それをぎゅっと握りしめる。
手が震えているのを隠すために。


今回ばかりは青江が居ても、安心どころか不安しか残らなかった。

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