Limit Etude
ハローグッバイ

あれから数日お世話になり、怪我も完治して問題なく旅を続けることができるようになった。


「本当にありがとうございました」


頭を下げる私にリインさんは今度は何もしてこなかった。怪我は完治した。だからもうお世話になることもない。これでいいはずなのだ。

「今度は気を付けるんだな」
「はい。気を付けます」
「……」
「……」

お互いに無言になりどうすればいいか分からなくなる。
離れるのが惜しいと思ってしまっている自分が居て正直驚くと共に、それほど気を許していたのだと気づいてしまった。今回のことも何かの縁だと思うと繋がりを断ってしまうのは惜しい。

「あの、手紙書きます」
「は?」

何を言っているんだと自分でも思った。たった数日お世話になっただけで調子に乗っていたのかもしれない。今のは冗談だと言えばそれで何事もなく終われる。そんな葛藤をしている私にリインさんはふっと笑った後

「好きにするといい」

そう言った。
その言葉がすごく嬉しかったのをはっきり覚えている


それから私はカン・バルクを離れてカラハ・シャールへと向かった。
道中何事も無く、依頼されていた物も無事納品することができた。もしあの時リインさんが来なければ死んでいただろう。

手紙を何通か出したりもした。もしかしたら読んでないのかもしれない、迷惑がられているかもしれないと手紙を送るのをやめたことがある。そしたら一度だけ手紙がきたことがあった。

『リインでいい』

それだけ。
どうやら迷惑ではなかったようだ。そして彼らしいとも思った。


あの出来事から数年、私は今でも返事のない手紙を出し続けている。

 
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