聞こえてくる地響きの音にセオはバッと顔をあげた。敵が責めてくる。剣を握る手に力を込めた彼は同僚達を見回した。 「みんな、準備はいい?」 隣にいたキーゼが笑う。 「今の俺チート並みよ? ステータス異常っての? とにかく負ける気しないっつーか、負けらんないし!」 ネクトがわざとらしく咳払いをする。 「こればかりは自分もキーゼに賛成だ。状況にそぐわない言葉使いは気に入らないが、確かに負けるわけにはいかない」 「俺もいちいち横やりいれてくるアンタの言いぐさ気に入らないけど、ここで食いついてもしょうがないし?」 今まで様子をみていたユトナが右の拳を左の手のひらに打ち付ける。パンッ、と乾いた音がする。 「とにかく、今からくるやつ全員ぶっとばしゃいいんだろ? やってやるぜ!」 ピリピリと緊張感が全員のうなじを撫でていく。 もうすぐ、戦いが始まる。 ◇ 「小童が妾になんのようじゃ」 セルネは仁王立ちのまま不機嫌そうに目の前の男を睨みつけた。白い髪に白い肌。服はゆったりした黒いローブだ。ジパング特有の不思議な形をしていた。頭には三角形の不思議な帽子を被っている。これだけだとこの世で彼だけが色を忘れたように映るが、赤い目だけはギラギラと炎のように輝いていた。ピジョンブラットのルビーのようだ。えぐり出して飾れば高名な宝石にもひけをとるまい。 「お初にお目にかかります。私はジパング帝国内閣総理大臣、テオ・マクニールと申します。ご高名な魔術師、セルネ=ネガロット様にお会いできた僥倖、恐悦至極に存じます。さっそくですが」 赤い目がセルネを見た。ギラリと光る目は、まるでヘビのよう。 「死んで下さいませ」 セルネがフン、と鼻で笑う。 「断る。貴様らのような小童に、妾が殺せるとおもうでないぞ!」 しおりを挟む目次 戻る [しおり一覧] |