お仕置されたいみたいだね

「……本当に、菜々は学習しないよねえ」
くつくつと笑う声はこの状況を楽しんでもいるようで、思わず後ずさった。
「それともワザとなの?俺を嫉妬させてそんなに楽しい?」
凛月くんは笑顔を崩さないまま。壁際まで追い詰められて逃げ場が無くなる。
「あのね凛月くん、私、そんなつもりじゃ、なくて……」
「そっかぁ……ふふ、お仕置されたいみたいだね」
せめてもの反論に、凛月くんは笑みを深めた。
顔の横に手をつかれて、くいっと顎を指で持ち上げられる。
「期待には応えてあげないとねぇ……ふふ、ふふふ♪」
「り、つく……!!」
凛月くんの綺麗な顔が近づいてきて、私の記憶はそこで途切れた。
「た〜っぷりお仕置してあげるねぇ」なんて楽しそうな声が響いていたことを、私は知らない。
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