「高値で売買される。いい資金源になりそうじゃないか」
「お前は、どこまでッ…!!」

桔梗色の目に激怒の色を滲ませ、まるで物のように友人を値踏みする目の前の男ーーー実の父親の胸ぐらを掴む。

「親にそんな態度をとるなんて暫く会わない内にまた随分と反抗的になったな、ミカゲ」
「どのツラ下げて親だって言ってんだよ…!」

親というには何も


「………やめろ………」
「何といってもお前は俺の息子だからな。ミカゲ、本当はお前もーーー」
「やめろ!!」

青年が激昂する声に、黒い二匹の獣が気力を振り絞り起き上がる。それを横目で瞬時に確認し、青年は叫ぶように二匹を呼ぶ。

「ブラッキー!グラエナ!」

二対の双璧である黒い体躯は主人の声にフィールドを駆ける。

体力は既にほとんど残されていない。それでも、二匹は主人のために戦う。陰惨な状況から手を差し伸べてくれたあの日から、忠誠は変わっていない。







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