連載ネタ ・ミカゲとツバキの出会い ・ タイトル案 ・すべての終わりのはじまり 或いは、強者と認めたから少年に対しての制裁か。 足音が聞こえてきたなど、彼には知るよしもなかった。 とん、と少年はそのまま窓から後ろに倒れ込む。空に身を投げ出し、少年を支える物は何もない。 (…なるほど) 対峙しているにボールに手をかければ容赦なく技を放っていた。 一瞬でも、隙をつくるため。 IPアドレスを辿る 解析ログを追跡 「“アイアンテール”!」 そこへ叩き込むのはブラッキーの硬化した尻尾。アブソルはよろけながらも 少年の未来を邪魔するように。 いや、お前に未来などないというように。 これが、両の手では数え切れないほど他の小さな命を奪った代償なのだろうか。ならば背負っていくしかない。 少年が身に纏う白衣は本来なら白一色のものだが、今は戦塵、血で汚れている。 実父から受けた暴力、先の戦闘で負った傷。 身体の傷はいずれ治るだろう。だが、心の傷は一生治らない。 それこそ、死ぬまで父親に囚われながら生きていくのだろうか。 「…俺は、いつもお前に───…いや、お前らに助けられてるな」 大丈夫だと頭を撫でれば嬉しそうに目を細める相棒の姿にミカゲは表情を緩ませる。 光が全く差さない陰鬱なあの場所で、少年の手持ち逹が唯一の希望、生きる意味を見出だす光だった。 だが、それは彼らも同じこと。ブラッキーをはじめ殆どが実験の被験体として使われ、挙げ句には理不尽に処分されそうになったところをミカゲに救われたのだ。その恩義は計り知れない。 ブラッキーが放つ夜の闇よりも昏い波動と、サンダーの10万ボルト。 ぶつかり合い、爆発。 そして、愚かともいえる決死の特攻を。 「プテラ!“ドラゴンクロー”!」 いかに伝説といえど電気技を放つためのタイムラグが発生する。 接近技なら不意を突くことができ、誤らない。全ポケモンの中でも驚異的な速さを誇るプテラなら可能だ。 それに、先の爆発で煙が発生しサンダーの視界が悪くなっている。奇襲を仕掛けるなら、今!! プテラは主人をのせたまま高速でサンダーに向かい、勢いのままに鋭い爪で突撃。 不意を突かれたサンダーは避ける間も技を放つ間もなくプテラの攻撃を受ける。 思わぬ反撃にサンダーの怒りを買った あやしいひかりはあくまでいわなだれをサンダーに命中させるための陽動。 勿論混乱させられば伝説相手といえど有利に勝負を運ぶことができる。が、伝説はそう甘くない。 「俺は自分の名前は好きだよ。俺に世界をくれた人がつけてくれた大切な名前なんだから」 「足引っ張んなよ?」「そっちこそ」「仕方ねえから俺がお前をサポートしてやるよ」「…あんた、できるの?」「前衛のほうが得意だが出来ねえわけじゃねえ。釈だが俺よりお前のほうが強いだろ」「意外。絶対俺のほうが強いとか言いそうなのに」「俺がお前に負けたのは事実だからな。それを後から吠えるのは負け犬のすることだ」 「泥水をすすりながら生ゴミを漁り、いつ息が止まるかわからない恐怖に怯えながらボロ布にくるまって明日を待つ。生き地獄と呼ぶにふさわしい毎日だったよ」 音速と高速の差で雷の位置を調べる 水中で音の伝わる速度は地上の4倍 鮮やかな彼岸花が咲き誇るに思わず立ち止まる。空は薄暗く夜の帳が下りつつあるというのに、何十にも咲いている彼岸花は霞むことなく自身の色を主張している。 (…気味が悪い) 一面を覆う赤に思わず眉を寄せる。この時間帯のみに魅せる彼岸花の妖しさ。それはまるで、あちら側の 生温かい風がぬるりと頬をなでる不快感に眉をひそめる。まるで死出の旅路に誘うかのように揺れる彼岸花に目が離せなくなる。 (───…思い出した) 死人花、だ。 |