アポロの右手に握られているのは黒光りする銃。あれで撃たれたのかと、ミカゲは他人事のように血が足りなくなりつつある頭でぼんやりと納得する。

「みすぼらしく敗走ですか、情けない。これでも私はお前の事を買っていたのですよ?」
「…それはどうも。ですが、俺はこの組織に留まる選択肢はありません」

ブラッキーは低く唸り、プテラは翼をはためかせ各々威嚇の体勢を取る。アポロの側に控えるヘルガーも、二匹を牽制すべく鋭い牙をちらつかせている。

「私がそれを許すとでも?だとしたら大変目出度い頭をしていますね。研究者として才覚を発揮していたお前の言葉とは到底思えません」
「案外俺の事を評価してくださっていたんですね、アポロさん」

何か打開策を、とミカゲはアポロから視線を反らさずに頭を回転させる。

(…さて、)

相手は首領の右腕足る最高幹部。

状況は芳しくない。だが、諦める理由にはならない。

「ええ。お前は組織にとって有益な人物。黙って見逃すことは有り得ませんよ」





「まさか見逃せと仰るのですか?幹部でありながら組織を捨て無様に敗走しようとするお前を」
「いいえ。



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