二枚目役者のように整った顔立ちに、深い漆黒の髪。青年は切れ長の桔梗色の瞳を優しく細め、傍にいる灰色の獣を撫でていた。獰猛であり、遠吠えだけで人に恐怖を与えるその獣───狼は青年に噛み付くわけでもなく、ただ黙ってその温もりを甘受し、それどころか嬉しそうにゆっくりと尻尾を振っている。 人に懐くことはほとんどないといわれる狼なだけに、他の人間がこの光景を目の当たりにしたらさぞ驚くだろう。 青年も狼も“普通”とは掛け離れている存在だった。姿形は他の人間や同じ種族と同じでも、他とは異なる雰囲気、そして人々から畏れられる存在。 ふいに青年が戸口を見やり、傍にいる狼がぴくりと顔を上げるのは同時のことだった。青年は軽くため息をつき、狼は待ち望んだかのように尻尾を軽く揺らし。 桜が満開のこの季節だというのに気温は徐々に下がっていき、空気は冬の冷たさ、そして妖気を纏っていく。 がらりと戸が開き、姿を現したのは白雪色の髪を高い位置で一つに結わえた美しい容姿の女───…否、青年。 「友達がいないお前のために俺がわざわざ遊びに来てやったよ」 「暇だから来たの間違いだろ女顔」 「こんな山奥で引きこもってるミカゲを気遣って来てやったんだから少しは感謝しろっての。そうそう、これカグヤさんからのお土産」 青年から雪のように白く細く綺麗な手から風呂敷包みを渡され、ミカゲと呼ばれた黒髪の青年は漂う甘い匂いに「また和菓子か…」と軽く息を吐いた。 「文句言うなよ。あと早くお茶出して。お前は客人をもてなすこともできないの?」 「お前は遠慮という言葉を早く覚えろ」 長い付き合いの間柄の二人には白雪色の髪の青年は黒髪の青年の傍にいた狼の頭を撫で 「ミカゲもこの子ぐらい可愛げがあれば…いやそれはすごく気持ち悪いな。無理」 「お前が勝手に想像したんだろうが」 「どうせお前のことだから若い女の子ばっかり狙ってるんでしょ」 「 |