「ッ、誰が、てめえなんかにっ…!」

息も絶えだえながらもはっきりと紡がれたのは、自身に従うことを否定した言葉。深い闇色の髪を強く掴みながら無理に視線を合わせた先には、決して折れてはいない桔梗色の瞳。それどころか磨かれた刃物のような鋭さがある。 おおよそ実父に向ける目ではないが、男は意に介した様子はなくそれどころか愉しげに口角を歪につり上げる。それでこそ屈しさせ甲斐がある。絶望するには、まだ早すぎる。

「時間は腐るほどあるんだ。親子水入らず、久しぶりにゆっくり話し合おうじゃないか」

お前を飼い殺す、一生日の目を見ることのない場所で。



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