「冬嫌い」
毛布に包まった状態で独り言を呟いていた私の家に、面倒な奴がやってきた。
「よ!イオ!」
…ルフィです。
いつも何故か同じクラスで、席が近くて、ルフィが喋ってばかりで、時間が経つにつれ結構仲良くなった。
今時、こんな歳になってまで真っ直ぐで純粋で馬鹿正直な男いるとは思わなかったよ。
「…やっほールフィくん、終業式ぶりですね」
もう日が暮れそうなのに、こんな時間に何ですか。
「ししし!ちょっと会わなかっただけじゃねェか!」
私の心の声が聞こえるわけもなく、相変わらず歯を見せて子供みたいに笑っているルフィ。
この笑顔見ると落ち着くなぁ、なんて思いながら何故突然ウチにまで来たのか訊いてみた。
「イオ外見たか!?雪降ってんだ!」
「……あぁ、うん。見た」
だから寒いわけだよ。おかしいでしょ、ここそんなに寒い地方じゃないんだよ?
雪なんて降る日は家にこもって暖房きかせた部屋でゆっくりしてるのが一番です。
「おれ雪好きだー。まっしろで」
「(本当に子供だなこいつ)…で?」
「一緒に見よう!イオ!」
「……はい?」
いまいちルフィの云いたいことが理解出来ずに聞き返すけど、ルフィはそれに答えることなく私の腕を引いて外へ連れ出そうとする。
勿論外は雪が降ってて物凄く寒い。私は今部屋着で到底外に出れる格好じゃない。見た目としても、暖かさとしても。
「ちょちょちょちょ!何で!?何で外出るの!?」
「おれイオに見せたいもんあんだ。だから行こう」
「はぁ!?え、今?」
「おう」
「……」
…聞かないんだろうなあこいつ。腕を掴まれたままの今、力で敵わない私はルフィから逃げる術を知らない。
何云っても聞かないのは、今まで過ごしてきてよく分かったこと。
「…分かった、ちょっと着替えてくるから待ってて」
諦めて、ルフィに解放してもらい、私は自分の部屋へ戻った。
あぁ、暖かい部屋…おさらば。
外に出れる格好になって、出来るだけ寒くないよう沢山着込んで、私はルフィに連れられるがままに歩いていた。
どこに行くのかも全く教えてくれない。ただ「絶対喜ぶぞー」なんて云って根拠の無い自信を持ったまま、ある場所へと向かっているようだった。
未だに掴まれたままの手を見て、溜息。
いつも振り回されてる気がする。ルフィといるのは楽しいけど、たまにトラブルに巻き込まれるから疲れるんだよなあ。
「あー寒いいー…」
「お前いっつもそれだよなァ」
「だって寒いんだもん」
へらへらと笑うルフィに少しつまらなくて云い返す。
それから、いつも通り学校でも云っていた言葉を呟いた。
「だから冬って嫌い」と。
「おれは好きだぞ」
ルフィは夏男って感じだけどね。どうせ雪が降るからなんでしょ?
今日は特に楽しい一日でしょうよ。
心の中で悪態をついていると、漸くルフィの足が止まって私もつられて止まった。
振り向いたルフィの顔を見てから、ルフィの後ろにあるそれに目が行く。
…イルミネーションされた大きなクリスマスツリー。
「綺麗だろ!」
「…うん」
…残念ながら、私はこういうので感動するようなメルヘンチックな女ではない。
正直、電気の無駄遣いだとか、ただピカピカ光ってるだけじゃんかとか、そういうつまらないことを思う女。
でも――
「イオに見せたかったんだ!」
…これ見せる為にわざわざウチにまで来てくれたルフィに、私は感動していた。
「…ありがと。嬉しい」
「ししし!」
凄く嬉しそうに笑うもんだから、つられて私も笑った。あぁもう、子供っぽいけど、私こいつのそーいうところ、好きなんだなあ。
「よし!イオ!遊ぼうぜ!」
「…え」
「雪だるま作るか?雪合戦するか?それとも…」
「…そこまで雪は積もらないって」
ルフィと同じ考えでツリーを見せに来た男と、その彼女。カップルがいる中で、ただ一人浮いてる男…ルフィ。
そうですよねそういう奴ですよねアンタは。…分かってたけどさ。
「じゃあー…飯でも食うか!」
「…早い晩御飯だなあ」
まぁ、良いけど。
そう思って頷いた後、私はお金は持ってきてないと釘を刺しておいた。
苦い顔をしたルフィに笑う。だってルフィが急かすからでしょ、お金持ってくるわけないじゃん。
「まぁ今日は良いや。デートだからな!」
「…は?」
「おれが奢る!あとプレゼント買わねェと。イオって何が欲しいんだ?」
…勝手に話を進めてらっしゃるルフィに呆然としていると、ずっと掴まれていた腕が解放される。
解放された、…かと思えば、掌をぎゅっと握られる。
「――!?」
「さっきイオは冬嫌いって云ったけど、おれはやっぱ好きだ」
イオとこーいうの出来るからな!
ニッと、いつもみたいに歯を見せて笑うルフィに、更に顔が熱くなった。
ちょっと待ってちょっと待ってちょっと待って!私たちただのクラスメイトで友達ですよね!?
何なのこの手…!何デートって!!
「それにクリスマスと正月で美味いもんいっぱい食えるしなー。雪も降るし、冬は楽しみいっぱいだ」
「………」
「あ、そういや云い忘れてたな。イオ」
勝手に話を進めて、呆然と固まっている私に気づきもしない。
漸く私に視線を戻したかと思えば、またあの笑顔を見せて
「おれ、イオのことすきだ」
なんて滅茶苦茶
(順番逆…!もうついてけない…!!)
えーと、奈波さん、リクエストありがとうございました!
こんなものになってしまいましたが…よければどうぞ。ていうか勝手に学パロにしちゃってごめんなさい…。
これからもXicaを宜しくお願いします^^