2014年2月
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「…………」

「ん?どうしたんだ?カレンダーなんか睨んで」

「さ、サンジ君!ななな何でもない!!」

「?」


どうしよおおおおあと2週間だよおおおお!!



▼△▼




「イオ、あんた最近機嫌悪いわね」
「むうううう…」


ナミに指摘された通りここ最近の私は不機嫌MAXなのです。何故なのかって?それは2月になってしまったからです。
あと2週間でバレンタインデー。世の中の男女がソワソワするイベントの1つだ。ある種私もソワソワしていたんだけど、それを通り越して苛々するようになった。

そりゃあね、最初は私だって好きな人にチョコ頑張って作って渡そうかなって思ってたよ、去年の夏頃には!
でもね、予想以上に自分の料理のセンスの無さを実感する数ヶ月を過ごして来た。夏にはまだバレンタインに間に合うだろうと考えていた自分の考えが甘かった。とても無理。仲間に友チョコ渡すぐらいにはなったけど、でも本命とか無理。


だって、相手はサンジ君だ。

一流の料理人だ。


和・洋・中問わず、おまけにデザートもお菓子も作れてしまう料理のセンスに溢れた男。そのセンスを私にも分けてほしかった切実に。
本人が一流のチョコを作ってしまうだろう。ていうかほぼ確実に、あの女好きだ。当日に「おれからの愛のプレゼント受け取って〜」という感じに目も煙草の煙もハートにしながら華麗なステップでお手製のチョコケーキとかを女性陣に出してくるんだ。それはきっと私も例外ではなく。

いや…いやね、嬉しいよ?
日々美味しいもの作ってくれてナミやロビンみたいな色気も女っぽさもない私なんかを、レディとして扱ってくれて優しくて
本当アホだけど紳士だと思うよ。


でもそれじゃ私の立場がない。
少しは女っぽいとこ見せてサンジ君に見直してもらいたいとか思ったけど、ただ恥かくだけだよ。





「さぁイオちゃんおれからの愛をたっぷり詰め込んだザッハトルテ、たんとめしあがれ


ほらね。
台詞は違ったけど予想通りチョコケーキ(ザッハトルテ)出してきたよ。
そして私は苛々したまま2週間過ごしてしまったよ。何してんだろう本当…。

テーブルの上に置かれたお皿には、シンプルだけどお上品でとても私には作れないだろうチョコケーキと、添えられるように生クリームまでもが綺麗な形で横に佇んでいた。

胸に広がるは敗北感。いや…勝てる気なんて最初から無かったけども。
素直に喜べない私…可愛くないなぁ。


「……ありがとうサンジ君」
「………」


かろうじてお礼を口にしたけど、全然笑顔作れなかった。
やっぱりそんな私に違和感を覚えたんだろうサンジ君。静かに立ち上がり、カップに紅茶を注ぎつつ私の名前を呼んだ。


「これは、イオちゃんのためだけに作ったんだ」


優しく色っぽいその声に、私は顔をあげて数秒。


「…うっそだー」
「嘘なんかつくわけねェだろ」
「じゃあナミとロビンには何あげたのさ」
「チーズケーキ」


「内緒だぜ?」と口元に人差し指を持って目配せをするサンジ君は酷く様になっていてイケメンだった。一瞬見惚れてしまった私はハッとして、紛らわすようにお菓子へ視線を落とす。
何度見ても、手の込んでいるものだと分かる。サンジ君だからそれ相応のものなんてささっと作ってしまうんだろうけど。でも──私のためだけに、わざわざ別のもの、用意してくれたんだ…こんな面倒そうなお菓子を…。


「本命には、ちゃんとチョコに気持ちを込めておこうと思ってな」

「何よりイオちゃんの喜んでる顔が見たいんだおれは」



その笑顔がおれは好きなんだよ


ニッと笑うサンジ君に、きゅううっと胸が甘い締め付けに襲われる。
馬鹿か私は。変な意地張って結局好きな人に何も用意しないなんて。サンジ君は私のためにこんな素敵なお菓子作ってくれたのに。


「……ッごめんサンジ君…私も来年…頑張って用意するね…」
「勿論おれのために、だよね?」
「うんっ」
「じゃあ今年はイオちゃんからの愛のこもったキスで」
「きもい!」




(ま、本当は頑張って練習してくれてたのも知ってるし、試作品もちょっとつまんじまったんだけどな)


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