「紗枝先輩!」



友達と泣いて抱き合ったり、写真とったり、卒業アルバムにメッセージ書きあったり、もう当分会えないだろう友達とたくさん思い出を作った。
校門のところでは卒業生たちが屯(たむろ)っていて、後輩や先生と別れを惜しんでいた。
後輩から花束を貰って、それを手に友達と会話をしていた私は、聞き慣れた声に振り向く。

それはもう、大きな大きな花束を持ってにこやかに笑っている千秋君に…男子バスケ部のみんな。私を呼んだのは奈緒ちゃんだ。


「…みんな…」
「卒業おめでとうゴザイマス」


千秋がその大きな花束を渡してくれたので、サイズに圧倒されながらもお礼を云って笑顔を向ける。

泣きながら奈緒ちゃんが抱きついてきて、それに苦笑しながら頭をぽんぽんと撫で(もうこれ以上泣くわけには…!)
照れくさそうに百春君や安原君が、相変わらず読めない表情のままモキチ君がおめでとうって云ってくれた。(あと茶木君と鍋島君も)←俺らついでかよ!!by二人
トビ君は「寂しくなるワ」って云って額にキスしてきて、顔を真っ赤にする私と憤怒する千秋君がいて。

…いつも通り。だけどみんなといられるのも最後なんだって思うと凄く寂しくなった。
私だけ、男子バスケ部で卒業か。そりゃ途中で引退するけど、でも受験にも関わらずしょっちゅう練習や試合の応援に行っていた。だから尚更、今寂しい。
何か、一人だけ仲間はずれって感じだな…。



「おら、云うことあるんだろ」
「うわっ」


悲しさと寂しさで視線を落とすと、百春君に背中を押され前に出てきた空君が視界に入った。今までみんなの後ろにいて今日は珍しく静かだった。
今日だと空君とは始めて顔合わせる。いつも通り見下ろす形になりながら、何だかもじもじした様子の空君の言葉を待つ。



「…あの!」
「?」
「暇な時にでも、いつでも良いんで、よかったら遊びに来てください!」
「……」


空君の言葉に目を開き、確認するような目で後ろにいるみんなを見る。
私が何を云いたいのか分かったのか、みんな微笑みながら頷いてくれた。



「……っ」



ああ、恵まれてるなあ。

1年生の頃は不良も普通にいるこの学校に嫌になっていたのに
2年生の頃なんてまだ1年だった百春君達のこと怖がってたのに
3年になったら、大好きなバスケに関わっていて、みんなで必死に上を目指していたね。

結局インターハイも行けなかったし、実力はまだまだってところかもしれないけど
でも、私みんなと上を目指す日々、楽しくてしょうがなかったなあ。





「…私、クズ高でよかった…ッほんとに」


ボロボロと涙を流し始めた私に空君だけがアワアワとしだし、他の人は優しい表情で見守っていた。(…なんだこれ、どっちが年上か分からないじゃんか)


「あの!ちょくちょく、メールで報告するんで!」
「…うん」
「時間出来たら、試合の応援とか、来てください!」
「絶対、行く」


涙を拭いながら笑ってみせると、空君はボッと茹蛸みたいに顔を赤くする。
一度俯いてぎゅっとズボンを掴んだかと思うと、勢い良く顔をあげてきた。何か意を決したような表情に変わっている、けど…



「僕、絶対紗枝さんより大きくなってみせますから!だから、そしたら…!僕とつつつっつつつつぎッ(舌噛んだ)〜〜〜ッ…つっ…つ、付き合ってくれませんか!」







その場が、沈黙に包まれる。
最初こそみんな驚いていたけど、千秋君をはじめとした男子メンバー(モキチ君除く)が「抜け駆けだ」と云いながら空君をボコりはじめた。(ちょ…モキチ君助けてあげて…)
横では呆れた様子の奈緒ちゃんがいて、ふと視線があって二人で同時に吹き出してしまった。


本当に本当に、クズ高に入学してよかった。
出来ることなら、あと二年遅く生まれたかったな。そしたらきっと――…3年間、楽しい日々がおくれただろうに。

空君と、一緒にいられただろうに。


(…そういえば、)


今こうしてバスケ部があるのも、しっかりとバスケ部として活動出来てるのも、本はといえば空君のおかげなんだよね。
空君が動いてくれたから、百春君たちも改心してくれて、バスケを避けてたモキチ君もバスケに向き合うようになって、みんながこうして、仲良くなれて。






『バスケ上手いんですね!シュート綺麗で吃驚しました!』

『え…』

『バスケ部なんですか!?あれ、でも見たことありませんね…先輩ぐらい上手い人なら気づかないわけないんだけどな』

『……だって私バスケ部じゃないもん』

『えぇ!?』

『書道部』

『……勿体無いですよ!』

『……ありがと。でもね、私足怪我してバスケもう出来ないの』

『でも、バスケ好きなんでしょう!?』

『――…、まぁ…』

『じゃあどうしてマネージャーとか、やろうと思わなかったんですか?』

『……』

『背を向けるより、携わってる方が楽しくありませんか?』

『……そう、かもね』



『よかったら、男子バスケ部のマネージャー、やってください』



『僕たち、本気でインターハイ目指してるんです!』







――…こうしてみんなの仲間に加われてたのも、空君のおかげなんだよな。


お仲間たちに散々痛めつけられちゃった空君の前に立つと、空君も空君を痛めつけてたみんなも奈緒ちゃんもこちらを見た。
かなり恥ずかしかったけど、一応年上なので、余裕あるってとこ見せたくて、空君にあわせるように屈んで、頬に唇を寄せた。



「――…!!」

「…あんまり待たせないでね」



また顔を真っ赤にした空君を前に、私も少し頬が熱くなるのを感じながら微笑みを浮かべた。
(空君の横では、愕然とするみんながいた)(それからやっぱり空君はボコボコにされた)








きっと、最初から君に惹かれてた
(私、今からでも付き合いたいんだけどなあ)


卒業夢を思えば初めて書きます。かなり長く夢書いてるのに…(あと逆ハをかなり久々に書いた)(これ逆ハっていって良いのかな)
やっぱり学園ものが原作だと短編のネタは浮かびやすいです。
ていうか千秋は年上であるヒロインでもやっぱりちゃん付けなのかな。さん付けなのかな。妙に気になっちゃって最初ヒロインのことは奈緒に呼ばせました。
そしてやっぱり何かgdgd感否めない( ̄∀ ̄)


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