「まだ練習してんの……」



予想はしてたけど流石に呆れる。
うちのきっついメニューこなして、そのうえ一人で人一倍練習してる鷹山は正直云って凄い。感心、してるよ、勿論。
バスケに必要な身長が彼にはないから、その分を実力で補わなければならない。
分かってるけど、あたしにはやりすぎにしか見えない。だって、鷹山って結構バスケ上手いし(ただのマネージャーが云えた口じゃないんだけど)


「鷹山、ぶっ倒れないでよね」
「余計なお世話だよ」


心配して云ってやったっていうのになんて可愛げのない口だ。顔は女子より綺麗だっていうのに。
わざとらしく溜息を吐くけど、鷹山はこちらを全く見ずに練習を続けていた。
あたしは側の椅子に腰掛け、ボーっと鷹山を見つめる。やっぱ綺麗な顔。…悔しいなぁ。


「バスケ好きなんだね、鷹山」
「それが何?」
「いんや。…よくやるなぁって思って」


あたしは絶対無理。あんまり体力無いし練習さえついていけずに部活辞めてるよ、きっと。
鷹山はその身長のくせにかなり頑張ってるから皆に呆れられてたりもするのに、ただひたすら、直向きに頑張ってる。
試合さえ、ろくに出れないのにさ。


「――…忘れられないから」
「?」


鷹山はやっぱりあたしを見ず、静かに続けた。



「コートに立った時の高揚してる自分とか、緊張感とか、プレーが決まった時の嬉しさとか、そういうの全部忘れること出来ないから」


そういえば、クズ高との練習試合で少しだけコートに立てたんだよね。
二階から降りて(あれには流石に驚いた)呼人に頼んで、相手に…車谷君だっけ。鷹山よりも小さい子が鷹山と戦いたいとか云ってくれたおかげで出れて。
結構活躍してたと、あたしは思ってる。





「僕は、またあの感じを  味わいたい」





「―――……」


いっつも冷静だけど、鷹山は案外熱い奴なんだなって、時々思う。
こういう一面見るとどこにでもいるような、普通のバスケが好きな少年なんだなって。



「……あたし鷹山の目好きだなー」
「は?」


頬杖ついて、眉を寄せてこっちを見た鷹山にニッと笑ってみせてから、すくっと立ち上がった。


「憧れてた場所だもんね。鷹山にとっての試合でのコートって」
「……」
「あたし応援してるね、鷹山のプレー見るの好きだしさ」


照れくさくなったけど、平然装って云った。
流石に、鷹山が好きだとは 云えなかった。










ずっと、憧れてた

(…好きなのは、目とプレーだけ?)(え)(僕が憧れてるのは、コートだけじゃないよ)
たとえば目の前の君とか


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