「あ」



どうも百春はリングに嫌われてるらしい。どれだけシュート入らないんだよ君はよ。
今のでもう連続で何本外しただろう。あれ、何本どころか何十本?
練習は結構してるんだけどなぁ。まぁシューティングは空君には負けるけども。


「どんまいだよ百春」
「うっせーよ!!つーかお前いつまでそこにいる気だ!?」
「んー…とりあえず百春が何本かシュート入れたらかな。あとは飽きたら」
「とっとと帰れ!」


とてつもなく迷惑そうな顔で私を見てくる百春。もう慣れたもんなんで簡単にスルーしてやった。
結構小さい頃からずっとこの問題ありまくりの兄弟とは付き合ってるから、今更恐いとか思うこともないんだよね。


「暇だしさー…どうせなら百春の成長的なものを」
「ほっとけよ!うぜぇ目障りだ!!」
「こういう視線も乗り越えられないとね」
「ぶん殴りてぇ」


米神に皺を寄せながらもボールを手にまたシューティングを再開した。(そしてまた外した)
私は座ってるのもつまらなくなったので、色んな方向に飛んでいってしまうボールを適当に歩きながら拾っては百春の方に転がしてやった。
何度か百春の足に当たったのが面白かったのでからかってやってたら睨まれた。本当反応面白いよなコイツ。

というより、最近丸くなった。喧嘩ばかりになってたリーゼントのヤンキーはどこへやら。今はバスケしか見えてない感じ。
まぁ、喧嘩してるよりはずっと良い。
これも、空君のおかげらしい。空君凄いなぁ。恐くなかったのかなぁ。



「…………」



また外した。
それでも諦めないでシューティングを続ける百春を見てて、何だか笑みが零れた。

うん、バスケしてる時の方が、ずっと百春らしい。





「……ていうかお前はいつまでいんだよ!!本当に帰れ!!」
「何でよー。寂しいこと云うなよー」


暫くしてからまた百春がこちらに怒鳴ってきた。
ブーブーと唇を尖らすけど百春は未だに怒ったような顔のまま。




「かっこわりぃだろ!!」




「…………」
「…………」
「…………」
「…………、…ッ!!」


怒鳴ってから、百春は自分が何を云ったのかハッとして顔を背けた。
私の方からはあまり見えないけど、耳が赤い。


「…み、見られたくねんだよ、お前には。だから帰れよ」
「そんで試合の時に格好良いところ見せてやろう!みたいな?」
「…………」
「(図星か)……別に良いじゃん」


私が云うと百春はちらりと横目でこちらを見る。




「格好悪くても良いじゃん」



「何年付き合ってきたと思ってんのさ。別に格好悪い姿なんて今までもずっと見てきたし、たまーにあった格好良いところも私の頭の中にちゃんと残ってるよ」
「…『たまーに』って何だ」


頭を指差して云うと百春はどこか納得がいかなそうな顔で眉間の皺を増やす。
それを気にもとめず私は続けた。




「私はさ、シュート外しても諦めずに何度でも打つ百春、好きなんだし」




格好悪い所も含めて、全部好きだよ。

そう云うと、百春からは返事がなかった。
たった二人しかいない体育館には沈黙が生まれて、二人ともその場で全く動かなかった。
百春は私から顔を背けたまま立ち尽くしている。私はそれを観察してる。


「……だ、れが…お前に見せてやるなんて、云ったんだよ…」


…耳真っ赤にしながら云われても説得力は無いんだよね。
本当嘘が下手だよなぁ、コイツは。

小さく笑ってると何笑ってんだ!って怒鳴られた。本当、かっこわるいな百春って。











かっこわるくていいじゃないか

(マジで帰れ!!)(私に格好悪いとこ見せたくないから?試合で格好良いところだけ見せたいから…!みたいな?)(殺すぞテメェ!!)
真剣にバスケしてる君なら、シュート外してようが格好良いと思うんだけどね


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