変な奴と会った。
最初はただの俺を怖がる女だと思ってた。別に相手する必要もないから帰れと云ったのに、あいつは傷大丈夫かなんて訊いてきやがった。
驚いた。俺みたいな不良で喧嘩ばかりの奴にそんなこと聞いてくるアホがいるなんて。
まず怖がってただろうが、お前、明らかに。何普通に声かけてきてんだよ。
あんな奴がクラスにいたなんて、知らなかった(まぁクラスの奴なんて一人も覚えてねぇけど)
俺が目の前に来たら同情にも似た顔しやがって
むかついて舌打ちしたら、今度は打って変わって固まって
さっきまで怯えてたくせに、俺の腹鳴ってからはずっと笑いやがって
メシ一緒に食おうとか、云い出して
…不覚だった。油断してた。
コイツがあまりにも表情ころころ変えるから、何か緊張感が抜けた。だから鳴りやがったんだ俺の腹は。
今は正面で俺が玉子焼きつまんでるのをジッと見てる。…正直鬱陶しい。
玉子焼き食ってから箸を持った手をおろすと、そいつは残念そうな顔をして、
「く、口に合いませんでした…?」
凄く不安そうに見るそいつが何かを勘違いしてるから、俺はただ一言「見すぎだ」と返す。
すると俺のことをずっと見てたことに気付いたのか慌てだした。
「い、いやぁその、自分の作ったもの誰かに食べてもらう日が来るとは思わなかったんで、ちょっと緊張してまして!」
「……、お前が作ったのか?」
「はい、まぁ半分以上はお父さんが作ってるんですけど…」
でも、その玉子焼きは私が作ったので
そう云って苦笑を漏らすそいつに、俺はもう飲み込んださっきの玉子焼きの味を思い出した。
…まぁ悪くなかった。こいつが作ったのは、少し意外だった。(ていうか料理親父が作ってんのかよ…)
いつもコンビニとか購買で済ませてたから、手作りなんて初めてだった。
……。
(……あったけぇ、)
初めて食った、手作り弁当なんて。
「あの、よければ」
「?」
「もし気に入ったものがあれば、お父さんに頼んでまた作ってきてもらいましょうか?」
恐る恐る、覗き込むように訊ねてきた奴の言葉に、俺は少し目を開く。
…つまりそれは、またここで食おうとしてるってことか?
…こいつ馬鹿か。さっき俺が怖いっつってたくせに。(云ったっつーか、分かったっつーか)
また俺のとこに、来ようとしてんのか?
(――…本当 変な奴、)
俺みたいな奴に、近づこうなんて
「……玉子焼き」
「……え、でも、それは…お父さんが作ったやつじゃ…」
「さっき聞いた」
「……」
顔を逸らして云うと、視界の端で凄い驚いた顔をしているのが見えた。
かと思えば、すぐに嬉しそうに笑って、
「…はい!」
「……せいぜい焦がすなよ」
――俺も俺だ。
何わざわざ次の約束なんてしてるんだ。
誰かと関わるのなんて大嫌いだった。今だって嫌いだ。
世の中なんて、嘘と愛想と裏切りだらけ。
絆とか友情とか愛とか、
そんなもん、微塵も信じてねぇはずなのに――
不良と平凡少女1-2
(…まぁ、メシ代浮くから良いか)
ヒトカゲ視点って初めてだな…。
…書きづらいw←