「カスミごめん!今日もお昼一緒に食べれない!」
「えぇ?今日も?」
「うん…ごめんね?」
「もう…しょうがないわね」


カスミが溜息を吐きながらも許してくれたので私は笑顔でお礼を言って教室を出る。
最近はカスミとご飯食べてないなー…でも、カスミとは普段一緒。でも、ヒトカゲ君は違う。お昼しか会うこと出来ないんだし、その時ぐらいヒトカゲ君を優先しても、良いよね?


「ヒトカゲ君!」


今日もヒトカゲ君はフェンスに座って町を眺めていた。
私が呼ぶと、振り向いて私の顔を見てから身軽に飛び降りて床に着地する。(毎回思う、本当運動神経良いんだなーと)
サトシの運動神経の良さは半端ないけど、ヒトカゲ君も負けてなさそうだな。


「今日はオムレツを作ってみました!」
「…卵から離れろよ」
「え…ヒトカゲ君が卵好きだと思ったから…」
「違ぇ」


呆れた様子で呟きながら、ヒトカゲ君が最初に手を伸ばしたのはお父さんが作ったから揚げ。
…お父さんはかなり料理上手だからな…やっぱ安全なところから手をつけるか…(何かショック)


「…じゃあヒトカゲ君何が好きなんですか?」
「無ぇ」
「えぇ!?じゃあ今日から私は何の練習したら…」


ヒトカゲ君に喜んでほしいから好きなものから攻めようと思ったのに。
好きなもの無いなんて云われたら…目標が無くなったよ私。何の料理練習したら良いんだ。


「……じゃあ、肉じゃが」
「え?」
「肉じゃが作ってこい」


……肉じゃが…ですと…?
よりにもよって煮物ですか…?難しい料理の定番の煮物ですか!!
つ、作ったことないよ肉じゃがなんて…


「ヒトカゲ君は肉じゃがが好きなの…?」
「好きなんて一言も云ってねぇだろバーカ。興味があるだけだ」
「そ、そうですか…」


でも直々のリクエストだし…明日は無理かもしれないけど、頑張って作ってこよう。うん。


「…ていうかお前連れいねぇのかよ」
「え?いますよ?」


そりゃあ多いとは云えないけど、サトシとカスミは大親友!幼馴染だし、自分で云うのも何だけどお互いのことは分かってるつもり。

何でそんなことを訊いたのかよく分かんないので首を傾げながらも答えると、ヒトカゲ君は何故か訝しげな顔をした。(えっ、何で…!?)


「…じゃあ何で俺のとこに来んだよ」
「え……」


何で…?
それは…その、ヒトカゲ君のことを、知りたかったからっていうか。出来れば仲良くなりたいなって思ったから。
いやぁ…でも、流石にそれを云うのは恥ずかしい…。


「え…と、その…駄目、ですか?」
「………」


素直にも云えず、不安にもなったから恐る恐る訊いてみる。
ヒトカゲ君の性格からしてきっぱりと云うはず。だから本当に嫌なら嫌だって断言するだろうな。
…そう思ってた…んだけ、ど…


「………」


…ヒトカゲ君は黙ってしまった。

…ん?あれ?どうして?これはどう受け取れば良いんだろう。
はっきり物事を云うタイプのヒトカゲ君だけど、反対に恥ずかしがりやで素直でもないヒトカゲ君。
黙って顔を逸らすこの反応は…私の考えからして――…



「……肉じゃが、練習してきますね」
「……おぅ」






不良と平凡少女1-3

(来ても、良いんだよね)


ほら、奴は素直じゃないから(-∀-)←



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