「ヒトカゲ君!」



いつも通りカスミには「また?」なんて訊かれたので「また!」と答え私は屋上にやって来た。
だけど――今日はいつもとは違った。

フェンスに腰掛けているはずだったヒトカゲ君の姿はそこになく、

何故か、沢山の男子生徒の中心で  倒れていた。



「――…え…?」


ヒトカゲ君を囲む男子生徒たちの手には…金属バット。それには、赤い血が、見たことない程沢山ついてて
倒れてるヒトカゲ君の赤い髪からも、それよりも赤黒い血が ありえない量で流れていた。

頭の中が真っ白になった。
何が起きてるのか把握できなかった。

町一番に強いんじゃないかって云われてる程のヒトカゲ君が まさか倒れてるなんて、
あんな、卑怯な奴らに、



「あ…?何だこの女」


男子生徒たちが私に気付く。
そして、さっき私がヒトカゲ君の名前を呼んだのを覚えていた一人が、薄く笑いながら


「おいおい…まさかコイツの女じゃねぇのか?」


云って、ヒトカゲ君の腹を蹴った。

……あいつらが…ヒトカゲ君を傷つけた。あんな大怪我させた。
何、考えてんの…限度があるでしょ…おかしい。学校の屋上でこんな、大量の血が流れるなんて、


「女、名前何てんだよ」


男子生徒たちが私に近づいてくる。
腹は立つけど、喧嘩なんて全く縁の無かった私。正直云って運動神経だって良くて中の上。鈍器持った男大勢に、ヒトカゲ君が敵わなかった奴らに、私がどうにかできるわけがない。
後退り、背中には今さっき入ってきた屋上の扉。扉は今私がいる場所からは引いて開けるので、押して逃げるなんてことは出来ない。この男達との距離じゃ扉を引いて逃げる余裕もない。

ていうか…ヒトカゲ君置いて逃げるなんて、出来ないよ…。


「……」
「…だんまりかよ。痛い目見てぇのか?」


金属バットを見せ付けるように地面を叩くと、カンカンと金属らしい音がした。…そんなもので、ヒトカゲ君を殴ったんだ。
やっぱり、許せない。


「…っおい!」


私の目の前にまで来ていた男に後ろにいた男が声をかける。
後ろにいた男が驚いているので私もそちらを見れば…よろよろと、ヒトカゲ君が立ち上がっていて
私の正面にいる男を、睨みつけていた。(見たことのないぐらい、怖い目、)



「てめぇら…そいつに手ぇ出したらぶっ殺すぞ」


「…ッハ、そんなやられといてよく云うぜ」
「!!」


鼻で笑いながら男が私の腕を掴んできた。思わず体をびくつかせた私。
だけどそれも一瞬で、数メートル先にいたはずのヒトカゲ君が一瞬のうちに私達の前に来ていた。
驚くよりも先に、男の腕を力強く掴み私の手を開放させ、空いた右手で力の限り男の顔をぶん殴っていた。


「…汚ぇ手で触んじゃねぇ…!」


…気絶、してる…たった一発で…。
その威力に言葉を失っていると、ヒトカゲ君は気絶した男の手中から金属バットを取り上げ、それを残った男達に向けた。


「てめぇらも殺されてぇか…」


武器を持ったヒトカゲ君がどれだけやばいのか分かっているのか、強気だった男達は一瞬で恐怖に顔を歪め、気絶して足元に転がっている男を連れて屋上から逃げていった。
その場が静かになり、腰を抜かす私。
未だに武器を構えていたヒトカゲ君は、金属バットを落としふっとその場に倒れた。


「ヒトカゲ君!!」










不良と平凡少女1-4

(血だらけのヒトカゲ君が、もう起きなくなるような気がして怖くなった)


ヒトカゲが…ヒロインを守ってる…(自分で書いといて本編との違いに…w)



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