※学パロ



君は太陽のよう。

私は、影だ。



「サトシ!給食食べたら体育館行こうぜ!」
「ああ!」


今日もサトシは違うクラスの子に遊びに誘われている。
明るくて優しくて真っ直ぐで、頭はからっきしだし鈍感だけど、運動神経は抜群で。
私たちぐらいの女子というのは、運動が出来る男の子を好きになる傾向があるらしく…あのサトシがちょっとモテている。

小さい時はそんなことなかったのになあ…。
寧ろ皆シゲルシゲルって。いやまぁ、今でもシゲルの方がモテるけどさ。
…ていうか私の幼馴染モテてばっか。なのに彼氏出来たことのない私っていったい…。


「イオ、どうしたんだい?」
「あ…シゲル」


隣のクラスになってしまったサトシを、たまたま廊下で見かけボーっと立っていた私。
クラスメイトのシゲルに声をかけられた。噂をすれば何とやら。

…周りから女子の視線を感じる。うぅ…何か居辛いなあ。


「…あれだよね、最近全然遊べなくなったなって」
「?」
「私と、シゲルと、…サトシと」


昔のことを思い出して云う私に、シゲルは少し苦い表情を浮かべる。


「あんなお子様と遊んだ覚えはないんだけど?」
「えーよく喧嘩してたじゃん、小さいことで。シゲルもお子様だったよ」
「喧嘩じゃない、あれはサトシが絡んできただけだ」
「違う違う、シゲルがサトシにちょっかい出してたの。で、サトシもムキになって」


家が近くて保育園からずっと一緒だった私たち。いつもいつもサトシとシゲルは云い合いのようなものを繰り広げてて、私は呆れながら見守っていた。
…今じゃクラスも違うし、それぞれやることもあるし、そんな時間無くなっちゃったんだと思うと寂しくなる。


「なんか…遠い存在になっちゃったなって…」


そう呟いた私に、シゲルは一瞬黙った後に私の肩に手を置いてきた。


「おいおい、イオの目は節穴か?僕は一緒のクラスだし、あのお子様はどう転がったって遠い存在になるとは思えないな」
「いやいや…たとえクラスが同じでもシゲルと前みたいに遊んだりした?私サトシとも最近話してないよ?シゲルだって思わない!?あのサトシがモテてるんだよ!?」
「確かに…サトシを好きだという女の子の気は知れないな」


あぁ、そこだけは納得するんですか…。
そりゃ私が云いだしたことだし未だに信じられない部分が強いんだけどさ。
だってサトシなんて運動神経良いぐらいで、シゲル相手にいつもムキになるお子様だし、頭悪いし何も考えずにトラブルに足突っ込むし、まぁ何だかんだそれで誰かしら救われてたりするし、誰にでも優しいし明るく無邪気で人気者になるのも分かるっていうか……

………………、うん。



(──私だけ、だったのに)



「勝ち目無いよお…」
「……イオ、君は自分を卑下しすぎだよ」


僕にとっては君も十分魅力的だと思うよ

そんなお世辞を云って腰に腕をまわして来たシゲル。
…え、ていうか普通に私心読まれてませんか。


「何なら僕が君と付き合ったって良い」


そう云って私の頬に手を添えて顔を近づけてきたシゲル。…すいませんここ廊下なんですけど。
突き刺さるような痛い視線を感じて私はシゲルの胸を押して離そうとする。どうせ冗談だと分かっているわけで、今更恥ずかしがる仲でもないのです。
だってシゲルが本気で女の子を好きに…想像つかない。それが私とか、尚更無い。



「シゲル!!!」


男はやっぱり力があって、中々押し返せないでいると、別の誰かにシゲルと引き離された。
突然のことに驚いたけど、私とシゲルの間に立つ人物に更に驚く。


「やあサァトシ君」
「お前今イオに何した!?」
「何のことだか僕にはさっぱりだね」


ニヤリと笑ったシゲルを見て…ああ、シゲルの策略だったのかなとか思う。きっとシゲルの思い通りに事が進んでるってとこだ。
そういえば昔もシゲルと二人で遊んでたらサトシが怒鳴りに来たっけ。何でかはよく分からないけど。


「イオに変なことするなよ!?」
「ただの幼馴染にそういうことを云う権利があるのかね?サトシ君ー」


サトシ前だとすっかり嫌味っぽくなるのはシゲルのお馴染みだ。これでも最近は減った方だよ、ちょっと前なんてもう…うん。
でも…こういう云い合いを見るのは久しぶり、かな。中学生になってから減った光景なんだよね…。
少し、前に戻れたような気がして嬉しくて、おかしくて、云い合いをする二人を前に小さく笑った。


「イオ!」
「?」
「昼休み、体育館で一緒に遊ぼうぜ!」
「へ!?」


いつも通り云い合いを聞いていないうちによく分からない展開になっていたらしい。何で私がサトシと一緒に体育館に行くことになるの…!?
しかもサトシと一緒=男子と一緒というわけで…ていうか男子の中にサトシに連れられた私が入るとなると、女子私一人じゃない?そんなの絶対ごめんだ。
ていうか私はインドア派で、昼休みだって教室とかで過ごしてることのが多いわけで…!


「……遠慮しとく」
「え!?何で!?」
「だから分かってないんだよサァトシ君?」


シゲルはサトシの後ろから顔を出してニヤリと笑った後、サトシを押しどけて私の前に来る。そして、手を握ってきて(…え)


「イオ、どうだい?僕と一緒に図書室にでも行く?」


いや、本読むの好きだけど、別に図書室は一人でも…ていうか読書は一人でするものというか。
シゲルは頭良い方だし図書室もたまに行くみたいだけど………とにかく何で私手握られてるの?

よく分からずに呆然としていると、サトシが割り込んできて私の手を握るシゲルの手を無理矢理払う。
かと思えば、今度はサトシが手を握ってき、て…(え…!?)


「イオ、音楽室行こうよ!俺イオのピアノ久々に聴きたいから!」
「え…」
「昔よく弾いてくれたじゃん。俺音楽ってよく分かんないけど、イオは俺の知ってる曲弾いてくれるし好きなんだ!」


そりゃ、サトシが知ってる曲を頑張って練習したんだもん…。

私の考えなど知りもしないサトシは、笑顔で云うなり返事も聞かずに駆け出す。手を握られている私も自然と走る形になってしまい、通りがかった先生に「廊下は走るな!」と怒られてしまった。
サトシは気にする様子もなく「ごめんなさーい!」と謝り、でも走るのはやめずに音楽室へ向かう。


「ちょ…!ちょっと、サトシ!給食まだ食べてないんじゃないの!?」
「あ」


私の言葉で給食がまだだったことに気付いたのか、突然立ち止まるサトシ。急ブレーキをかけられなかった私はサトシの背中にぶつかってしまった。

お弁当だったら食べる場所も食べる時間も自由だけど、給食じゃそうはいかないよね。配膳係に迷惑かかっちゃうもん。

振り向いたサトシは、照れたように笑っていて、相変わらずせっかちな所に私も笑ってしまった。
未だに握られていた手は熱くなっていて、私の頬も熱くなっていた。サトシと手握ったのなんて、何年ぶりだろう。
お互いに気づいて、何だか恥ずかしくなって、どちらからともなく手を離す。あ…サトシも顔赤いや。なんか可愛いな。


「……」


せっかちですぐにムキになるようなお子様だけど、
優しくて明るくて勇敢な、そんなサトシが小さい時からずっと、好きだ。
他の可愛い子に比べたら地味な私なんて勝ち目はないだろうけど、でも…こうやってまた笑い合ったり、手を握ったり、出来たら良いな。



「…じゃあ、あとでイオの教室行くよ」
「あ、うん」
「それと、今日久しぶりに一緒に帰らないか?」
「…うん!」



君は太陽で、私は影。

決して目立つような存在じゃないけど、君が私を見てくれていたなら、それでいいんだ。








太陽

(じれったい二人だな。告白しないサトシもサトシだけど、気付かないイオもイオだよ)


また長くなってしまった…!そして前半シゲル出張ってますねえww
シゲルのキャラが謎です。ニコ動で調べましたがなんか…こんなんですかね?あの子初期とAGぐらいだとキャラが全然違いますよね!w
それにしてもシゲルとサトシって良い関係ですよね、腐的な意味じゃなく。
因みに今回はヒロインに好意があるのではなく、サトシをからかう&発破をかけていただけです。小さい時から両片想いでいい加減くっつけーみたいな(^q^)
学パロは書くの楽しいです!傾向が無かったのでほのぼので書かせてもらいました。
そういや中学生は給食です…よね…?あと私の通っていた中学は音楽室わりと自由に使えたんですが、他はどうなんでしょう?
タイトルのセンスが皆無です…誰か考えてほしい← 苦情受け付けますー…。
あとがき長いですね(汗)リクエストありがとうございました!^^


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