※学パロ


キアのいる隣のクラスへ行く。綺麗な金色の髪はすぐに見つかって声をかけようと思ったが、開きかけた口はそのまま固まってしまう。


「何だよこの量…」
「うーん、こんなにいらないんだけどなあ…直接渡しに来てくれた人には断りにくいし、机の中とかに入れられたのは返しようもないしさ。だからって捨てられないし」
「だったら俺に一個ぐらい寄越せ!」
「でも想い込めて作ってくれたのを人に渡したらくれた人に失礼でしょ?」
「何こいつ罪な男」
「ていうかマジ腹立つんですけど」
「あは。君たちも普段の行い良かったら一個ぐらい貰えたはずだよ?」
「うぜえ!」


自席に着くキアの周りには数人の男子生徒。クラスメイトだろう。
困ったように笑っていたキアの机の上には、数え切れない程のチョコが積み重なっている。
ちょっとした売り場が出来そうなぐらいの量だった。

──そりゃあ、普段からモテていたし、想像はついたけれど

教室の出入り口で立ち止まったまま、手に持ったチョコを見下ろす。
遠目から見ても…キアの机の上にあるチョコ達に比べ、ラッピングの時点で劣っているのが分かる。中身で勝てるわけがない。

何だか惨めな想いをするだけだし、キアも困るだけだろうし

渡すのは諦めて自分で食べてしまおうか。

そう考えて引き返そうと背を向け、自分のクラスへ戻ろうと思った…が


「おはようイオ」
「!!!」


背後から聞こえた声に過度にビクついてしまった。
振り向けば、そこにはにこやかな笑顔でいるキアがいて。…いつの間にこちらへ来ていたのだろう。


「お、おはよ…」
「何かうちのクラスに用があったんじゃないの?」
「…、あー…いや、ないよ。うん。ちょっと散歩を…」
「…ふーん?じゃあその手に持ってるのは?」


慌てて後ろ手に隠したチョコだが、どうやらキアにはお見通しのようだ。彼には色々と敵う気がしないと、改めて思う。
目を合わせられなくて、あちこちを見て言葉を詰まらせる。
それを見兼ねて、キアはすっと手を差し出した。イオも気付いてキアの手を見下ろし、困惑した表情で顔を見る。


「…僕へのチョコ、ないの?」
「……え、……いや、いらないでしょ、あんなに貰っておいて…」
「分かってないなーイオは。100個の義理チョコより、1個の本命チョコの方が嬉しいに決まってるでしょ」


まるで、自分がキアを好いていることを見透かされているような気がして、顔が真っ赤になってしまった。
これ以上何も云えず、素直に持っていたチョコを両手で持ってキアに差し出す。キアは受け取ったチョコを見てから、未だに顔をあげられず俯いているイオへ視線を戻し訊ねる。


「…で?本命?」
「………、」
「よかった」


イオのことを分かっているからだろう。否定をせず俯いたままの反応は肯定の意味と受け取り、キアは嬉しそうに微笑む。
顔をあげる様子のないイオの頬に触れて顔をあげさせ、額に軽くキスを落とす。
訳が分からず目を丸めているイオに笑顔で、


「どんなチョコより、君から貰えるチョコが一番嬉しいよ」


「じゃあね」と軽く手を振ってから教室へと戻っていく様を、呆然と見つめるイオ。
しかしすぐに熱くなった頬に両手をあてて心の中で叫んだ。


(ろ、廊下なんですけど…!!)



何ちゅうプレイボーイ


.
X i c a