ピピピ…ッ

あ、メールきた
今度は誰からの年賀メールかな…


受信トレイ
day:14/01/01 9:10
from:田島悠一郎
sub:あけおめー!!
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初詣一緒行こう!


-END-


年賀メールっていうか…うん
初詣かー ま、行ってやるか



▼△▼




田島に誘われて初詣に来た。去年までは家族で行ってたから、まさか同じ部活の奴と一緒に行く日が来るなんて思わなかった。しかもそれが異性とか尚更ね。
だからって田島は私にとってはただの部員であり、とても異性としては見れない。
なんせクラスが一緒どころか何の縁だか席もいつも近く。自然と仲良くなるし一緒にいることも多くなる。
ガサツな私は逆に男子との方が友達が多いぐらいな女っ気のない奴だ。…高校生にもなってこれで良いのかなとは思うけど。
そうは思いつつもう年が明けてしまったわけである。


「人多いなー」
「ねー、みんな考えること一緒だよ」


鬱陶しいと思う反面、神社の側には屋台も並んでいて賑やかで楽しげ。
屋台とかお祭りぐらいでしか遭遇しないものだし、後で何か買っていきたいな。


「あ!たこ焼き食いたい!買お買お!」


と、思ってたけど、どうやら田島は我慢出来ないらしい。
お目当ての神社への道から逸れて、たこ焼き屋さんにまっしぐら。…何だか小学生の子守をしている気分。
一歩後ろでたこ焼きを買っている田島の背中を見つめ、溜息を一つ。まぁこんな田島のペースには慣れてるから別に良いんだけど。


「八代も食べたいんだろー?」
「超たべたーい」
「じゃー一個あげる」
「やったね。私そのソースとマヨがいっぱいついてるのがいい」
「うわっよくばり」
「いーじゃんちょーだい」


あーん、と口を開けると「しょうがないなー」とぶつくさ言いつつも田島がお目当てのたこ焼きに串をさす。
口元へと運ばれたそれを頬張ると、出来たてのそれはもの凄く熱かった。


「あっふ!」
「なんて言ってんのか分かんねー!」


熱い!と訴えた私の言いたいことは絶対分かってるはずだろうにケタケタと笑って指差す田島。次いで田島もたこ焼きを頬張ると、笑顔が一瞬で消える。


「あっひい!」
「あはは!」


まぁ、私たちはこうやって馬鹿やって日々を過ごしているわけだ。




「八代お願い事決めた?」


たこ焼きを食べ終えて神社にやっと到着し、お賽銭箱の前へと来る。
小銭を用意してる間に田島に聞かれ、既にお願いを決めていた(というか悩むこともなかった)私は即答した。


「勿論、甲子園出場でしょ!」


マネージャーだとしても、野球部の一員である私だって願わずにはいられない。
田島だってそうでしょ?と聞けば予想外にも田島は首を横に振った。


「甲子園はお願いしなくたって行ってみせるって!ゲンミツに!」
「…すごい自信」


この根拠なき自信とポジティブシンキングは田島の凄いところだと思うけど。
いくら才能がある田島がいたって、皆が努力したって、ライバルは多い。そう簡単な道のりではないと思い知ったはずなのに。
それでも心から信じて発言するその言葉は、虚言でも見栄にでも聞こえないから不思議。

…、だからこそついていこうって思えるんだけどね。


「じゃあ田島は何お願いするの?」


私はお願い事変えないけどね。


言って、小銭をお賽銭箱に放り投げて手を合わせる。
目を瞑って心の中で「甲子園に出れますように」とお願い事を唱えた頃、隣でパンパン!と手を叩く音が聞こえた。



「大好きな八代を恋人にして、キモチイイ事もいっぱいできますように!」



目を見開いて、声の聞こえてきた隣を見れば
「これがオレの願い事!」と屈託のない笑顔を浮かべる田島がいた。



こ…こいつ、神聖な場所で何てことを



みるみる顔が熱くなっていくのは
周りの視線が集中するからか
奴の変わった告白の所為か



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