『イオって本当に料理出来ねぇよなー。サンジのがずっと上手いぞ』

『うるさいルフィ。あたし料理とかろくにしないもん』

『そういやバレンタインも店のチョコだったな!美味かったから良いけどよ!』

『じゃあ良いじゃん』

『でも女なのに料理出来ないって何か嫌だよなー』

『別に全く出来ないわけじゃないから!最低限のことぐらいは出来るから!』

『そうなのか?じゃあよ、おれの誕生日にケーキ作ってくれよ!でっかいのな!』

『……え?』






そんな流れで、ルフィの誕生日にルフィの為にケーキを作ることになってしまったあたし。
本当に、本当に最低限のことしか料理なんて出来ないあたしがケーキなんて作れるわけがなかった。
だけど「作れない」なんて云える状況じゃなくて、だから見栄はって作ってやるって豪語して……だから頑張って練習したんです。
練習して練習して、そしてやっとのことで完成させたんだ。何とか誕生日に間に合ったって、昨日一息吐いたのに。

なのに



day:05/05 13:35
from:ルフィ
sub:無題
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今日部活の奴がおれのお祝いして
くれんだってよ!
サンジがケーキ作ったみたいだか
ら学校でパーティーすんだ!
イオも来るか?



――なんですかそれ。



結局サンジ君がケーキ作ってくれたんじゃん。
同じ部の人達と仲良くしてればいいじゃん。
どうせあたしは帰宅部ですよ。部員じゃないあたしが行けるわけないのに、何?自慢でもしたいの?
良かったね、サンジ君の美味しいケーキ食べられて。…あたしが作ったケーキなんて大したものじゃないよ。


(……忘れんなよ馬鹿)


一人頑張っちゃって、馬鹿みたい。



高三の私達は、来年の今頃は別々の道を歩んでいるわけで。
だから、ルフィの誕生日祝えるの今年で最後なんだって思って──だから頑張ったのに。




day:05/05 13:43
to:ルフィ
sub:行かない
―――――――――――――――





本文は入れずに返信してやった。その後『怒ってんのか?』ってメールが返ってきたけど無視してやった。


何?この日を特別に思ってたあたしって本当にただの馬鹿?
ルフィには冗談か何かに聞こえてたわけ?あたしには出来るわけないって片付けちゃったわけ?



「………」



ルフィの誕生日祝えるの、最後だったのに。

こんなことになるなら、去年までもちゃんと当日にお祝いしとけばよかった。
ゴールデンウィークなのにプレゼントとか渡せないし、(休みなのに渡しに行くなんて、気があるってバレバレだし)毎年連休あけに軽いノリで渡してた。
また、軽いノリでそこまで高くないプレゼントでも買って、軽いノリで明日渡せばよかったんじゃないの?──いつも通りさ。今からでも間に合うかな。

…そうしてあたしはルフィと進展しないまま、卒業していくんだろうな、




(──…いや、今年はもうプレゼント買うのやめよう。もうケーキ代やその練習代でかなりお金使ったしアイツの為に何か買うとか腹立ってきたな)






あとで、家族にも食べてもらってケーキ処理しよう


そんなことを考えながらベッドに寝転がりボーっとしているうちに、あたしはすっかり眠っていた。
だから、鳴り続ける携帯に中々気付けなかった。
しつこく鳴り続けるうちにあたしが目を覚まして時計を見れば、さっきから一時間以上経っている。…うわぁ。

寝すぎたと思いながら相手の名前も見ずに電話に出てしまったあたしは、本当に失敗したと思う。



『出るの遅ェぞイオ!!』



寝起きにはきつい大声が電話越しに聞こえて、思わず耳から携帯を離した。
声を聞いてすぐに分かる。あぁ…ルフィだ。もう出たからには切ることが出来ない。…やだなぁ、今話したくないんだけど。


「…なに」
『なにって、イオが怒ってるから』
「…怒ってないし」
『怒ってんじゃねェか。電話全然出ねェし!!』


それは寝てたからというか…(いや、まぁ起きてても無視してただろうけど)


『それにいい加減こっちも出ろよ』
「は?なにが…』


ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン



「………」


無視したい。誰がいるか分かるからこそ無視したい。
だけどこんなのずっとやられてたらかなり迷惑だ。




「インターホン連打すんな!!」


怒鳴りながら玄関のドアを開けると、予想通り携帯片手にムスッとした顔のルフィが立っていた。
ちょ…何でアンタが怒り気味なの?怒りたいのこっちなんですけど。


「何で無視すんだよ!何回電話したと思ってんだ!」
「無視してないし!」
「出なかったじゃねェか!何怒ってんだよ!!」


玄関で喧嘩してる男女。…近所に見られたら最悪だ。おばさま達の井戸端会議で一気に噂広まって変な話になっていくんだ。
それだけは避けたい。


「…とりあえず入って」


ルフィを家の中に入れて、二人で玄関に並んで腰かける。
あたしは頬杖をついてムスッとした顔のまま、ルフィには話しかけない。ルフィも黙った。
数分の沈黙の後、あたしはふと今更になって気になったことを訊く。


「…何でここに来たの。パーティーは」
「アイツら結局飯目当てなんだ。プレゼントとか何も無ェし途中からおれのこと忘れるし。だからおれが片っ端から飯食ってきてやった」
「…何それ」


相変わらず子供みたいなルフィがおかしくて、ちょっとだけ笑ってしまった。


「その分イオは去年も一昨年もプレゼントくれたよなーっ」
「あぁ…」


でも、大したものをあげたわけじゃない。

ルフィと出会ったのは高校で、それから3年間ずっと同じクラス。最初はただ友達だからってことでリストバンドあげたんだ。
──で、去年は少し気になっていて、でも前回がリストバンドだったからいきなり高価なものもあげられないし、悩みに悩んでタオルとTシャツをあげた。…やっぱりこれが無難だな、と。

たまたまなのか、狙っているのか(いや、前者だろうな)ルフィの右腕にはあたしのあげたリストバンド、Yシャツの下にはあたしがあげたTシャツ。…嬉しいけど、恥ずかしいな。
うん、でも似合ってるなぁ、と我ながら自分のセンスを褒めたいところだ。やっぱルフィには赤だよね。


「んで、今年はちゃんと作ったんだろうな?」
「え?」
「ケーキッ!!」



──…え



「……え、え」
「…まさか忘れたのか!?」
「いや、ていうか、…ルフィこそ忘れて…」
「?忘れるわけねェだろ、お前失礼だな」


眉を寄せ不思議そうに首を傾げたルフィに…何だか拍子抜け。

でも、覚えてたのに、なのに部員で楽しくやってたんじゃん。…サンジ君の作ったケーキ食べちゃってさ。


「…パーティーやってたくせに」
「だって飯出てくるんだぞ。おれのために。食わないわけねェ!」
「…サンジ君のケーキ食べたらもう満足でしょ!?あたしみたいなのが作ったケーキなんて全然美味しくないし──」
「美味いかどうかはおれが決める。ケーキどこだ?」


……な、何だコイツ。

最初からちょっと…いやかなり変わってるって思ってたけど、でも流石に慣れてきてたんだよ?
なのに今のルフィには全くついていけない。


「ほら!イオ!」


あたしの腕を掴んで立たし、急かすルフィ。
…勝手すぎる。何なのコイツ本当に。どうしてあたしこんな奴好きになったの。


「…リビングの、冷蔵庫」
「リビングってどこだよ」
「…そっち」


何だかもうどうでもよくなってきて、溜息混じりでリビングのある方向を指差す。
ルフィはあたしの腕を掴んだままリビングへ向かい歩き出した。あたしも素直に着いていく。


何だかなぁ、


やけに疲れたと思ってまた溜息を吐いたら、不意にルフィが口を開いた。




「やっぱ、イオに祝われる方が良いなー」




──なに、それ



ルフィの言葉に頭の中が真っ白になったあたし。ルフィが立ち止まって振り向くので、あたしも思わず立ち止まった。
さっきまでとは違って、いつもみたいに輝くような笑顔を見せて、奴は云うんだ。



「来年もその次も、ずっとおれのこと祝ってくれよ」




「ずっと一緒にいよう!」






────そうそう、この笑顔に惚れたんだ。


そんな考えが頭の片隅を過ぎるも、それ以上のことは考えられず、ただ顔を真っ赤にして頷くしかなかった。

あたしの返事に嬉しそうに笑ったルフィは、あたしの腕から一度手を放して手を握ってきた。









「うお!ケーキグチャグチャじゃねェか!」
「こ、これでも頑張ってやったの!」
「まーイオだもんな、こんなもんか」
「ちょっとそれどーいう意味」







君とが一番!

(おれサンジのよりイオのケーキのがすきだ)(え)(イオがおれの為に作ってくれたやつだからな!)(──!)(来年はもっと美味くてデカイのな!)(…が、頑張る)



果てしなく遅くなってしまった。くっそ愛はあるのに…!
数年前からルフィBD夢書いてるから流石にネタが無いんだぜ…( ̄∀ ̄;)
とうとう学パロに走ったよ。しかもgdgdで長い…涙目orz
とりあえず、誕生日おめでとうルフィ!


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