※幼少期



「あ!ナルトいた!」
「…?」



一人、今日は誰とも遊べずにとぼとぼと帰宅路につくナルトに声をかけた、一人の少女。
振り向いたナルトに駆け寄り、ぜぇぜぇと荒れる息を整える。
年は、同じぐらい。

今日は彼女がおらず、一人ぼっちになっていたのだ。
いつも公園にいるはずの彼女が、いなかったのである。


「…何だよ?」
「あのね、ナルトにこれあげる!」
「…?」


眩しいぐらいの笑顔で少女…イオが差し出したのは、一本の花。
花を前にナルトはぽかんとし、その表情のままイオへ視線を戻す。


「もっと、ナルトが喜んでくれるもの用意したかったんだけど…お金ないから、こういうのしか渡せなくて」
「え…?」




「誕生日おめでとう!ナルト」




イオの言葉に、目を見開く。


「これ、プレゼント!」
「……」


呆然とするナルトに花を押し付けるイオ。
慌てて受け取ったナルトは、それを暫く見つめた後、イオを見て


「…おれ…」
「…あ、男の子に花はやっぱり変かな?」
「そうじゃなくて!……、イオは…誕生日好きなのかよ?」
「え…?」


花をきゅっと掴み、俯いてしまうナルト。


「だって…おれは、みんなに嫌われてるんだぞ。おれなんか生まれないほうが良かったって、みんな――」
「イオは思ってない!」
「…!?」
「イオは…ナルトが生まれてくれてよかったって、思ってるよ。ナルトのお父さんとお母さんにお礼云いたいぐらいだよ」



同じように俯いてしまったイオは、服を掴んで震える声で続ける。
ナルトはそんな彼女を、ただ呆然と見つめていた。



「イオは…ナルトの誕生日、大好きだもん」




「――…」


顔は見えないが、ぽろぽろと地面へ流れ落ちる涙を見てから、ふっと笑みを浮かべる。
自分の服を掴むイオの両手を握ると、突然のことに顔をあげてくれた。


「ごめん。おれも、イオの誕生日大好きだってばよ」
「……うん!」








たとえ多くの冷たい視線を浴びても

君がいるから、笑ってゆける




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