「死ぬ」




ポツリと呟いた。


「…何で?」
「うお、いたの?」


独り言だったんだけど、あたしの後ろで(存在感薄!!)聞いたらしい越前があたしに訊ねた。
聞かれてるとは思わなくて吃驚して振り向く。


「いやですね、寒すぎて死ねるなって話でして」
「そう?」


アンタは体動かして暖まってるもんね!
マネージャーで水仕事の多いあたしの気持ちなんて知らないでしょうね!

夏は冷たくていいけど冬は地獄だよ。
これほど体動かしてるほうがいいなんて思ったことないよ。
いや、とにかくコタツが恋しいな。ぬくぬくしたい。


「見よこの手を」
「うわ、しわしわ」
「ほっとけ!ふやけたんだよ!ていうかそうじゃなくてほら!震えてんじゃん!」


有り得ない程震えてるでしょあたし。
外にいるんで風が更に冷たく感じて、体全体が寒くなる。
やばいってこれ。いっそ風邪でも引いて部活サボりたい。何であたし男テニマネなんてやってんだ。せめて室内の部活にすれば……


「カイロとか持ってくればいいのに」
「切れちゃったの〜まだ買ってないの〜」
「ふーん」


越前はそう素っ気無く返すとあたしの前でしゃがんで視線を合わせて、不意にあたしの手に触れた。
うわ…暖かい。やっぱ運動してるから違うや。


「冷たっ」


越前はあたしの手の冷たさにすぐ手を離した。(あぁ…温もり…)


「血通ってんの?アンタの腕」
「失礼な奴だな。アンタらのユニフォーム洗ったりドリンク作ってやってんのはどこのどいつだと思ってんの」
「はいはい」


越前は肩を竦めて適当に答える。
あたしは寒さのあまり一つくしゃみ。冷える手を擦り合わせながら息を吹きかけた。
も…勘弁してください。誰かあたしに温もりをぉぉお!


「………」
「…お?」


そんなあたしの心の叫びが分かったのか(分かったのかな。エスパー?…ちょっとそれはやだな)越前があたしの手を握った。


「……あったかい」
「つめたい」
「冷たい分越前の手暖かく感じんだ」
「汗かいてるけどね」
「もうこの際そんなん気にしないもんね。男臭なんていやっていうほど嗅いでるし」


越前の両手があたしの両手を包み込むようにしてくれてるから本当に暖かい。
思わずにやけるあたし。
越前は相変わらず無表情。


「今日の越前は優しいですな」
「別に」
「うははー先輩達に話してみよー」
「………」


越前が睨んできたから「冗談だよ」って笑った。
もう、本当に冗談通じないなぁコイツ。まぁからかいがいがあるってもんだけど。
普段すかしてる分焦ってるところとか照れてるところとか面白いんだよね。写真におさめて売りさばきたいくらい。あは。




「……そうやって足出してるから風邪引くんじゃないの?」
「んあ?」


越前の視線の先はあたしの足。スカートはまぁまぁ短い。


「越前すけべー」
「なっ、違っ…」


ほら、こういう焦ったところが面白いんだ。


「俺はただ…」
「心配してくれたんだ?」
「……」


こうやって照れてるところも、面白い。


「越前さー」
「…?」
「ひねくれるけど、可愛いよねー」
「……」


つまらなそうに睨む君が、また好きだなとか思うんだよね。うん。


「嬉しくないし」
「テニスしてる時は格好良いよ」
「……アンタってさ、」
「?」
「卑怯だよね」


顔がほんのり赤いのは寒いせいなのかいまいち分かんないけど、(照れてるんならいいなぁ)
あたしはニッコリ笑って「今更だよ」と笑ってみせた。


















そんなLife

幸せなら、まぁそれで良しかな。


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