「わりぃ…」
「…………」


目の前で頭を下げる一護にわざとらしく溜息を吐いてみせた。
呆れたように見せて、本当は凄く泣きたい。顔、見られたくないな。

何度目かな。
最近一緒に遊ぼうって約束しても、一護は急用が出来てばっかだ。
その急用は教えてくれない。教えろよデートすっぽかすぐらいならよ。
しかも何?夏休みずっと無理かも?ふざけんなよコノヤロウ。
彼女放っておいてアンタは夏休み中ずっと何してるってのさ。


「……何なの、最近ずっとすっぽかしてばっかじゃん。“約束”って言葉知ってます?」
「いや、その、」
「守れないならさ、最初からしないでよ」


期待、するだけなんだよ。馬鹿。

もう嫌だよ、こんな気分になるのさ。
こんな、泣きたくなるの。疲れた。


「…紗枝…」


複雑そうな目であたしを見る一護。
あたしはその瞳から逃げるようにそっぽを向いた。


「何で何も云ってくれないの。急用って何?あたしより大事なの?」
「紗枝のことは大事だって思ってる!けど…っ」
「『けど』何!?」


…駄目だなあたしは。笑顔で許すことが出来たのは最初だけだ。
もう流石にさ、出来ないよ。あたしそんなに寛大な人じゃないもん。
寧ろ、朽木さんと仲良くするの見て嫉妬するほど、醜い女だ。


「っ…最近ずっと…ほっとかれてばっか……もう不安でしょうがないんだよ。…何か朽木さんとよくいるしさ。隠れて二人だけで話してるし」
「…え」
「一護んちからッ朽木さん出てくるのだって見ちゃったんだよ!?」


あの時の絶望感っていったらない。
朽木さんは友達。何故か学校からは突然いなくなって、何かクラスみんなが朽木さん忘れてるけど、それでも以前は仲良くしてたんだ。
そんな人が、自分の彼氏の家から朝出てきたの見たら、あたしはどうすればいいの。
もう、あたし、捨てられちゃったのかなあ。朽木さんは、可愛いもんなあ。あたしは、並の中の並だもんなあ。


「それは誤解だ!あいつは流れでっつーか、居候っつーか…」
「居候!?同い年の女子泊めてんの!?彼女いながらも!?」
「ていうかお前、ルキア覚えてんのか!?」
「はぁ?何云ってんの?話逸らそうとしてんなら無駄だけど!?」


覚えてるに決まってるじゃん、記憶喪失になったわけでもないんだから。
(確かにクラスのみんなはおかしいけど)普通に覚えてるでしょ?あたしのこと馬鹿にしてる?



(――…何らかで、影響受けてる…)



呆然とした一護が思っていることなんて、知るはずもなくて。
いつの間にか涙ボロボロと流して、不安で押しつぶされそうな胸掴んで、自棄になりながら吐き捨てた。


「いっそ朽木さんと付き合えば!?しょっちゅう出来る急用に負けるような存在のあたしは別に必要ないでしょ!?」
「なっ」
「こうやって問い詰められんのも嫌でしょ!?いいよ、あたしから離れてやるから!夏休み他の男作ってやる!」


云うなり云って踵を返し家に帰ろうと歩き出す。
もういい。一護の顔見たくない。見れない。今のあたし酷い顔してるから。
あーあ、最後まで嫌な女だったな。駄目だな、嫉妬ばっか。嫌われるよこれじゃ。


「紗枝ッ!」


けれどあたしの腕は一護に掴まれて、引き寄せられて、バランスを崩し一護の胸に収まってしまう。
背中に感じる体温が何だか凄く久しぶりで、恥ずかしくて顔が赤くなる。
抵抗をしたけど一護も力があるから敵うわけもなくて、寧ろ回されてる腕に更に力が篭もってしまった。


「――…詳しくは話せねぇけど、今、仲間が…危険な状況なんだ」
「………」
「俺は、助けに行かなくちゃいけねぇ。そうしないと、仲間は死んじまうから」
「………」


本当に詳しくは教えてくれなかった。
まるで嘘じゃないかと思えるような話なのに、一護の真剣な声を聞いてしまっては疑う余地もなくて


「…危ない場所だから、どうなるか分かんねぇから、だから紗枝をへんに巻き込みたくなかったんだよ。俺はまだ、お前を守りきれる自信、ねぇから」
「……」
「だから何も云わなかった。けど…お前がこんなに不安になるなんて思わなくて。…わりぃな」
「……一護…」


肩に頭をのせられた。耳にオレンジの髪が触れて少しくすぐったい。
大好きなオレンジを横目に、あたしはただただ黙って一護の話を聞くしか出来なかった。


「……駄目だな…自分のことで精一杯で、自分の彼女がどんな気持ちになってんのか全然気付いてやれなかった」





「こんな男で、ごめんな」





――…一護は ずるい


そういう妙に誠実なとことかさ、真っ直ぐなとことか、成績のわりに何か馬鹿のとことか、そういうの、好きになってたんだよなあたしは。
謝られたら、何も云えない。


「…俺は紗枝のこと、好きだ」
「……うん」
「こんな俺だけどよ、我侭、聞いてくんねぇか」
「…何、さ」







「お前だけは、放したくねぇんだ」

















反則だ、このやろう

(……ばかやろ)(…あぁ)(しょうがないから、待っててやるよ)(――さんきゅ)





お待たせしました菜穂様!
有り難いことに、細かく設定くれたのでとても書きやすかったんですが…何か…ベタになっちゃってすんません…orz
しかもこれ…切…甘……?
…とことん甘いの苦手みたいです…甘々とかきっと文が酷くなるだけで怖くて書けないのかもしれませんね。(駄目じゃん)

えと、一応書いておきますが設定はルキア奪還前。尸魂界行く前っすね。(随分前だな)
一護の口調がよく分かってない…なんか偽者な気が……;

こんなもので良ければ貰っていってください!菜穂様のみお持ち帰り可です!
もし気に入らなければまたリクでもしてやってください…(ぇ)

リクありがとうございました!!


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