※「空に唄えば」夢主





「…………何拗ねてんの?ナルト」



昼からずっと剥れた顔していかにも機嫌悪いのをアピールしたい様子のナルト。
いつもはウザイぐらいにぎゃあぎゃあと煩いのに今日は話し掛けても相槌を返すぐらい。
つーか朝はご機嫌じゃなかった?どうしたんだよお前、朝の任務終わってからずっとそんなんで。
何だこいつ。ここまで静かだとなんか気味悪い。


「別に拗ねてなんかないってばよ」
「拗ねてんじゃん。明らかに拗ねてんじゃん」


何つーかさ、こっちまで調子狂うんだよね。
疲れるまではしないけど(無視してれば済むから)何か結構気になるわけで。


「……別に…拗ねてなんか…」


そうしてブツブツと呟き始めたナルトを見て俺は盛大な溜息を吐いた。
なんかもう無駄っぽいから無視に決定。勝手にしてろこのバーカ。


「……なぁ、」
「ん?」
「今日、何の日か知ってるか?」
「今日ぉ?」


もう今日の任務はないし…呼び出しくらったわけでもないし…ていうかもう今日は暇なはず…
特別シカマルとかと約束もしてないよな…?


「…さぁ」
「…だと思ったってばよ。お前には関係ないもんなァ」
「…何だよその言い草、なんか腑に落ちないっつーか引っかかるもんがあるんですけど」


呆れたいのはこっちだっつの。
妙にムッとしたので云い返すと、ナルトはそのまま溜息を吐いた。(溜息を吐きたいのもこっちだっつの)


「何だよ、今日なんかあんの?」
「今日はバレンタインなんだってばよ!!」
「…………」


……バレンタイン?



「……………くだらねぇ」
「ンなぁ!?」
「そんなにチョコ欲しいの?男って分からん」


そうか、そんでサクラにでもチョコ期待してたんだろ。
そういえばサクラ…サスケに何かあげてたよな…(あぁ、あれがチョコなのか…)
ナルトそれ見たんだろうな…だから拗ねてんのか。自分には何もなかったし。


「好きな人からチョコ貰えたら嬉しいに決まってるってばよ!そうじゃなくても好かれてんだって分かったら喜ぶもんなの!」
「……ふーん」




「じゃあ、俺があげようか?」




「…え?」と間抜けな声を出して驚いてるナルトに駄菓子屋で買っておいた小さなチョコをあげる。
それを見てナルトは顔を顰めた。


「…違うー!何かこれ、違うってばよ!!適当にも程があるっつーのー!!」
「ほぉ、文句あんなら返してもらって結構。チョコも泣く」


駄菓子屋のチョコナメんじゃねえぞコノヤロー。
美味いんだからな!!
安くて美味いなんて素晴らしいじゃんか!!


「気持ちのこもってないチョコは貰ってもしょうがないんだってばよ!!」


そう云って乱暴にチョコを俺の手に返すナルト。
………。


「…別に、気持ちがこもってないとは云ってないんだけどなー」
「え?」


ポツリと独り言を呟いたつもりだけど、それはナルトに聞こえたみたいで振り向いて俺を見た。
一度俺はナルトを見てから少し恥ずかしくなって視線を逸らす。


「…いや、普通に…感謝とか…そういう感じの」


「そりゃチョコは、駄菓子屋のだけどさ」と付け足す。

ナルトには、色々世話になった。
俺を救ってくれて、そんで今も支えてくれる、大事な人。
ほら…夜も、手繋いでくれるし。


「……」


手元にあったチョコが姿を消す。
ナルトを見れば、包み紙をとって一口でチョコを食べた。


「……それなら、話は別だってばよ」
「…素直じゃねーの」
「うっせーってばよ」


俺が笑うとナルトは恥ずかしそうにこっちを見た。
それがまた面白くて俺は笑ってる。


「だー!もう!うっさい!笑うなァ!!」
「お前って単純ー!何?機嫌直った?」
「なっ、直ってないってばよ!」
「嘘吐けー」
「嘘じゃねーってばよ!!」


どうやら機嫌は直ったらしい。俺が云うのもあれだけど、本当にコイツって単純だ。
サクラのことはまぁ、挫けず頑張れよってことで。


「ホワイトデー、」
「ん?」
「駄菓子屋のクッキーだからな」
「何それ、仕返しのつもり?」
「大事なのは気持ちだから良いんだってばよ」
「気持ちって?」


「俺だって、感謝したいの、いっぱいあるから」





(俺の側で笑ってくれて、ありがとうって、)



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