「けほっ」
風邪、引いた。
もう日も暮れてきたのに、熱は朝と大して変わらない。
ああもう、ただでさえ今日学校行けなくて落ち込んでるのに明日も行けないとか絶対嫌だ。
だるい…ぼーっとする…暑い…気持ち悪い…もう嫌だ……
珍しいなあ、風邪引くことなんて滅多にないのに。
まあ…原因は自分でしっかり分かってるんだけど。(きっと、この調子じゃあたしはまた風邪引くよ)
(あ、今ので千回いった)
毎日毎日、放課後部活が終わった後も一人でシュート練習をしている、空君を見ているからだ。
しかも、空君に気付かれないよう、外でこっそりと。空君が練習終わるまで。(毎日夜遅いよ)
「………」
…今日も…今頃部活終えて、一人で練習してるんだろうな。
見たかった、な。明日学校行けたら、また見たいな。
あの楽しそうな輝いてる表情、また見たいな。
「こ、こんばんはー…」
「…?…………!!!?」
空君の可愛い笑顔を思い出してにやけそうになっていると、その張本人の空君が恐る恐るあたしの部屋に入ってきた。ええええ!?
何で空君!?あれ、あたし空君に家教えた覚えないですけど!ていうかそこまで仲が良いわけでもないんですけど!(席が隣りでっ、たまにっ、ちょっと話すぐらいでっ!)
「そそそそそそそ空君…!?」
「あぁあっ!急にごめんんね!あのっ、今日休みでちょっと心配で!百春君にここ教えてもらって!それでっその…っ」
「お見舞いに来ちゃったんです!」と何か敬語になっちゃって、頭を下げそこらへんのスーパーで買ってきただろう林檎を差し出す空君。
ここから見るに空君の耳は赤い。(空君て、いつもあたしを見ると顔赤くしてるような気がするんだけど…気のせいかな)
そりゃ百春君は一度うちに来たことあったけど…(色々あったんです、こっちにも)
何でわざわざ空君が…?心配?心配って…あたしを?
「め、迷惑だよね…っちょっと様子見に来ただけだから!じゃあ僕もう、」
「え、帰っちゃうの…?」
「へ?」
思わず本音を漏らしちゃったあたしの声に気付いて、林檎を足元のテーブルに置くなりさっさと帰ろうとした空君が目を丸めてあたしを見た。
それにあたしは自分の云っちゃった事に恥ずかしくなって顔が熱くなり俯く。
「あの、その…ずっと寝てばっかでつまんなくて…一人で寂しく て」
「……」
「うあ、でも…空君は、練習で忙しい、よね!それに、移っちゃったら悪いし、」
まるで空君にいてほしいって云ってるのを隠せないあたしは更に顔が熱くなって頭も口も回らなくなってきた。
空君が来て何もかもが覚醒したと思ったんだけどな。
「…………」
空君は暫くその場で固まっていたけど、無言でベッドの方に来て側で腰を下ろした。
「今日は五百本になっちゃったけど、一応練習してきたんだっ。明日今日の分やるから練習は問題ないよ。それに僕、風邪移っても別に平気だから、」
「だから ここに、いてもいい?」
「――――」
ど、どうしよう。凄いドキドキしてるよ、あたし。
空君も、顔真っ赤だ。
「……うっ、うん!良いよ!ていうか、居てください!」
ねえ空君、
いつも千本以上やってるシュート練習を半分にしてまで、ここに来てくれたってことは
大好きなバスケに、あたしはちょっと敵ってるって思って いいのかな
たまにはこういうのも
(今度から、中で練習見てても良いからね。僕、君にまた風邪引いてほしくないから!)(………え!?あ、はい!)
気 付 か れ て た !!