友達に誘われて茶道部に見に行くことになったのはいつだったっけ。
あたしは特別人を好きになることなんかなくて(恋したことあるのは漫画のキャラだけですはいオタクです)
きっとこんなあたしを現実に戻そうと思ってしてくれたことなんだろうなと今は思う。
茶道部って何だよ、って最初は思った。
普通サッカー部とかバスケ部とか…そういう男らしいところ選ぶでしょ。
汗流してる青春してるぜ!的なシーンを見てときめかせるもんでしょ。(漫画でしかときめいたことないんだけどさ)
それなのに茶道部って
まぁそんな…偏見?みたいななんかそんなのをしてたわけね。
そんなさ、ただお茶作って飲んで「結構なお手前で」みたいなこと云ってーみたいなやつでしょ?
しかもそこに男っているの?
「よかったら参加しませんか?」
着物をきた何だかものっそい綺麗な女の人が(うちにはこんな生徒いたのか!可愛すぎる!同じ人間かしら!)あたしと友達を誘ってくれた。
友達はにこやかにあたしの肩を押して「こいつだけ参加しますー」
…って!
「えぇぇえええ!?」
「それじゃあ上靴脱いで上がってください。どうぞ」
「え、ちょっ、えぇ!?」
「行ってこい!」
「行ってこいって何だよ!裏切り者ォォオオ!!」
友達は人を連れてきたくせに逃げた。(あの野郎…!)
めっさ綺麗な可愛すぎる女の人に案内されて中に入ると、そこには…あ、男子いるんだ。
着物来た、茶色い髪の…おぉ、格好良いぞあの人。
こんな人茶道部にいたのね。
こんな可愛い女の人といい格好良い男の人といい…ここは漫画ですか!
「すすすすすすんませんあたし茶道とか全くやったことないんですが……っ!!」
「そう堅くならなくて良いですよ、リラックスリラックス」
「リラックスですね、りら゛っ…」
舌噛みました。(え、あたし馬鹿)
「だ、大丈夫ですかっ?」
「ら、らいひょうふでふ…(大丈夫です)」
馬鹿すぎるあたし。馬鹿だ馬鹿だとは思ってたけどここまで?
え、ていうか単に恥さらし?うわぁ逃げ出したい穴があったら入りたい死にたい…!
正座してそんなあたしらの様子を見ていた男子が「それで茶飲めるの?」と訊いてきた。
女の人は心配そうにあたしの顔を覗き込む。
すっ、すんません!この人にあたしは恋しそうです!!(鼻血出していいですか!!)
「はい」
「?」
「気休めにはなるんじゃないですかね」
冷たい水を持ってきてくれた。
この人無表情だけど優しい…!
差し出されたコップを受け取って水を口に含む。
あ、確かにちょっと痛みひくかもこれは。
ごっくん。
暫くしてから水を飲み込む。
あ…マシになったんじゃね?これ
「…馬鹿ですんません…」
こんなんだから、色気もなくなるわ化粧とかにも全く興味を示さないわ男も出来ないわ なんだ。
こんな奴だから、男は引いていくか女として見てくれないんだ。うん、分かってるよ。分かってるけどどうしようも出来ないんだよう!
「気にしないでください」
「君のころころ変わる顔、見てて面白かったしね」
……絶対アホとか思ってるよね。うん。
「嫌いじゃないよ、俺」
「―――――」
「面白い」はよく云われたけど、「嫌いじゃない」っていうのも、別に普通なのかもしれないけど
気のせいかな、ちょっと、ちょっとだけ優しい表情をした気がしたんだ。綺麗だった。
あれ、なんかあたし変
今は冬なのに なんだか顔が熱いんです
「つまり、ほぼ一目惚れなわけね」
「そーですね」
初めて来た浅羽祐希の家(=悠太君の家!!やっべー!)で格ゲーに勤しみながら悠太君に惚れた日のことを話した。(恥ずッ!)
もうあれからどれだけ経つんだろう。
暫く経ってから告白しようと決心して、浅羽祐希と間違えて、浅羽祐希と知り合って、なんか意気投合?して、気付いたらお目当ての悠太君よりずっと長くいて(本屋とかさ)
ここまで結構仲良くなってたりすれば浅羽祐希とよく連む最初女の子かと思って惚れそうになった春君とも仲良くなったし、千鶴君もなんか可愛くて仲良くなったし(なんかテンションがあたしと似てる)…なのに、何故浅羽祐希の双子の兄である悠太君とは仲良くなれてないのか(もうたまに話するだけでも奇跡だけど)
それはきっとあたしが彼の前だと緊張しすぎて上手く喋れなくて避けちゃうからだと思う。本当にあたしは馬鹿ですねハイ。
え、ていうか、浅羽祐希ゲーム強すぎ…!ま、負ける…ッ!!
「まぁ着物着た悠太はカッコよかったしね」
「お、浅羽祐希はブラコンですか」
「お兄ちゃんだいすきー」
声をちょっと変えて云った浅羽祐希がきもいけど笑えた。
笑ってたら最後の一撃(必殺技かよ…!)決められて負けた。
「あぁああー!!」
「俺の勝ち」
「負けたぁぁぁあああーー!あー今絶対浅羽祐希に狂わされたー!浅羽祐希が変なこと云うからー!」
「勝ちには変わりないからね」
確信犯だこの人。絶対そうだ。そうしか考えらんない。
一番悔しいのは浅羽祐希の冗談がなくてもあたしが勝てなかっただろう事実。
チクショウ…!もう絶対浅羽祐希とゲーム勝負なんかしてやるもんか…!(勝てないもの!)
「それじゃ、罰ゲームね」
「うぅ…何でも来いや!!」
そう、負けたら勝った方の云う事を聞くという賭けをしてたのです。
あたしも結構強いんだよ?自分で云うのもなんだけど!結構負け知らずだったの!
だから浅羽祐希に何させてやろうかなーと目論見ながら余裕ぶっこいて悠太君とのエピソードだって語ってたの!
まさか浅羽祐希がこんな強いだなんて思いもしなかったのォォオ!!
「それじゃあ……」
浅羽祐希は目の前で正座して構えるあたしに少し考えてから、云う。
「俺に、キス、して」
………………………え…?
今、何て云った?
きす?きすって何ですか。魚の鱚ですか?「俺に鱚して」?何求めてんのこの人アホじゃんってなるよね。
浅羽祐希の顔は、いつもみたいに無表情。
ああ、もう、こいつ分かんない。
無表情だから、何を思ってんのか分かんないよ。
『俺じゃ、駄目ですか』
最近の浅羽祐希は、なんか変だよ。
どうしたの、浅羽祐希らしくない。
こっちまで、なんか調子狂っちゃうよ。
熱い。
おかしい、な。何で熱いのあたし。
あ、きっと今日は寒いから暖房が効いてるんだ。そうだ、うん。
「……え、あの……え、えっとですね、」
「嘘」
「………」
一番最初も、悠太君に間違えて告白したときも、嘘吐かれた。
あの時、冗談で云ったけど、今は本当に
「……腹立つぅ〜…」
近くにあったクッションを投げつけてやった。(キャッチされたけど)
無駄にドキドキした
何で、ドキドキしてんの、?