※「Colors of the Heart」夢主





「はぁ」




溜息一つ。
あぁもう俺の馬鹿。
何か久々にエドと喧嘩した。喧嘩の内容は…なんかもうそれどころじゃなくて忘れた。
忘れる程のことなのに、色々あってお互い苛々してて、アルの制止も聞かずにどんどん暴言吐いて吐かれたんだ。

どっちが悪いかとかは、ない。
強いて云えば両方悪い。

でも、謝るのはちょっと癪だ。
(多分エドも同じこと思ってんだろうな。あれ、エンドレス?)

一番困るのはアルなんだよな。アルに後で謝っておこう。(アルには素直に謝れるのにこの差って何)
ていうか何で兄弟なのに、こんなに違うんだ。我侭頑固自分勝手の兄より優しく気配りの出来る弟。世の中おかしいよな。


「………」


アルには、迷惑かけたくないな。
エドだけならともかく。

ここは俺が大人になって謝るべきなんだろうなぁ。
でも面と向かって云うのは、きついもんがあるんだよね。



「………ん、そうだ」



そういえば俺、大佐に頼まれ事してたっけ。
だったら、ついでに…










「兄さん、好い加減謝ったら?」
「うるせえ!あっちが謝ってくるまで俺は謝らねーからな!」


隣で盛大な溜息を吐くアル。
そりゃあ謝るべきなのかも、しんねぇけどよ…癪っていうか、納得出来ないっていうか。
まず俺に謝るとか無理に決まってんだろ。しかもよりによってアイツに。

嫌いなわけじゃないけど、どうしてもアイツの前だと更に素直になれないっていうか。
何でなのかは、俺には分かんねぇけど。

けどこれからも一緒に旅をしていくわけだから、ずっとこのままではいられない。いる気もない。
気まずいし困るのは俺らだけじゃなくてアルもだ。(ていうかアルが一番辛いだろうな)



「?」



すると、宿屋に誰かが入ってくる。
それに気付いて視線を向ければ、


「あ…」


噂をすれば何とやら。


「……な、何だよ」


無言で歩み寄るので少し反抗的に見上げる。
けどそれに返すこともなく、俺に持っていた何か綺麗に包装された袋を押し付けてきた。
思わず受け取り、何が何だか分からずその袋から視線を戻す。


「…云っとくけど、大佐のついでだからな!」
「はぁ?」


そう云い残して出て行ってしまった。
…何が何だか。
アルも俺も訳が分からん。

とりあえず渡された包装袋の中身を見てみようと開けてみる。
リボンを解いてそれを近くにあったテーブルに置き、いざ拝見。



「…!」



中には、チョコと小さな紙が一枚。
二つに折られた紙を取り出して開く。




『ごめん。ありがとう』




………。
『ごめん』って…喧嘩のことだろうけど…『ありがとう』って何だ…?
その疑問が先に出ちまってリアクションをとれなかった。先に、謝ってくれたのに。


「何て書いてあるの?」


アルが覗き込んで内容を見る。
そして小さく笑った。


「…何だよ、アル」
「いや…成る程なぁって。」
「成る程?どこらへんが」
「とりあえず今日がバレンタインだからチョコだって事とか、兄さんより先に謝ったあたり大人だなぁとか、お礼の意味も色々」


…そりゃ、確かにあっちが先に折れたけど。

というか、今日ってバレンタインなのか。…まぁ、俺には関係ないことだけどな。


「きっと、兄さんが一緒に旅させてくれたことに感謝してるんじゃないかな」
「あ…?」
「一人で、不安だったはずだから」
「………」


確かに…今までのアイツを見てたらな……
知らないうちに知らない世界に連れて来られ知り合いが誰もいないで頼る人が誰もいなかった。
そう思えば…俺らにとっては何てことは無いことでも、アイツにとってはとてもデカイ事だったんだろうな。



……くそ、こんなことされたら俺も謝るしかないだろ。







「…そういえば、このチョコ大佐のついでって云ってたよね」
「あぁ!!アイツもしかして大佐にまでチョコやる気か…!?」
「大佐のこと…好きだったのかな…」
「趣味悪ぃだろ!!うわ、何か大佐に負けたのが腹立つ!!」
「本命欲しかったんだね、兄さん」
「違ーう!!」



.
X i c a