「――――……」
…アイツのあんな姿、初めて見た。
いつも余裕で俺のこと簡単にあしらってパシリだけさせる…人として最悪だろってアイツが、屋上で小さく丸まって泣いていた。
シカマルに聞けば、アイツの大事な人が死んだらしい。名前は確か、白。
その人が、前に云っていた好きな人だったんだって、今分かった。
ただ走って駆け寄って、来るだけ来て何て声をかけようかなんて全く考えてなかった。
アイツも、俺がいることには気付てるはず。でも、声をかける程余裕はないみたいで。(しゃっくりまでしてるし…)
…いつもは強い奴って思ってた。
嫌味ったらしな、人を馬鹿にするような、とんでもねぇ奴って。
女なんて、思えるわけがなかった。なのに、
…泣いてるアイツ見て、女みてぇだって思う俺も 単純。
そうだ、アイツ女なんだ。サクラちゃん達と同じ制服着てる、好きな男だっていた列記とした女なんだ。
喧嘩強くても、男といる方が多くても、男みたいなサバサバした性格でも、
弱い、女なんだ。
アイツ、いつも弱みなんて無いように、気丈に振る舞ってるだけで、
本当は少しの事でも、崩れ落ちちまうような、か弱い女と変わりないんだよな。
「……」
「…っ来んな、馬鹿…今とりこみちゅ…!」
来るなって云われるけど、俺は歩み寄るのを止めはしない。
蹲って俯いたままだけど、俺がすぐ目の前にまで来たのは分かったはず。
「来んなって、云ってんじゃん…!!」
本人としても、泣いてる所なんて見られたくないんだろうな。
シカマルも止めとけってって云ってたけど、俺は聞かなかった。
その場で胡座をかいて、暫く黙ってどうしようかと考える。
どうしたら良いか全く分かんねぇ。でも何でか放っとけなかったから。
考えた結果、俺は目の前で泣いたままのソイツを引き寄せて、抱きしめてた。
「な…にしてんの!ふざ、けんな…っ」
「俺、馬鹿だから、」
必死で離れようとするけど俺は腕に力をこめて逃がさない。
いつもとは違って静かに云うと、暴れるのも止んだ。
「お前の涙ぐらい、すぐ忘れるってばよ」
「……」
「誰もいねぇんだから、泣けよ、」
「……っお前がいたら、泣けるか…!」
「でも俺も、放っとけねぇからここにいる」
「何それ…っ」
「お前がそんなんじゃ、俺本気でお前の事殴れなくなるから。とっとと元に戻れってばよ」
お前がそんなんじゃ、調子狂うんだってば
妙な恥ずかしさで声が小さくなったけど、しっかりと聞こえたはず。
返事は、返って来なかった。かわりに泣き声が聞こえてきた。
俺の背中に腕を回してしがみついて、肩に顔を埋めて泣きつづけた。
二人だけの秘密
(俺とアイツしか知らない、今この時)