学校ではいつも通りに振る舞うアイツも、やっぱり時々寂しげな表情をする。
本当に、本当に白ってやつの事好きだったんだろうな。
大事な人が死んだら、やっぱそんなすぐには立ち直れないと思う。俺、そんな経験無いからよくわかんねーけど。

キバ達に何とかしろって云われるけど、まず何で俺に云うか分かんねーし俺だってどうにも出来ねぇ。

だって俺、白って奴の事全く知らねーもん。
顔も、歳も、性格も。どうして死んだのかも。
それなのに、そんな奴が死んだっていうのに、俺にどうしろっていうんだ。


よく考えれば、俺、アイツとは他人になるんだ。


クラスが同じで、席が隣で、…良くてクラスメイト、悪くて喧嘩仲の俺が入っていい世界じゃないって、馬鹿のくせに分かっちまった。
分からなかったら、普通にいつも通り勝負挑んでるのに。
どうすれば良いか考えてると頭痛くなってくる。

俺は励ます言葉も見つからないし
励ます権利も、 無いと思う。

そういう事して良いのは、すげー仲良い友達とか(シカマルとか)それこそ恋人とか、家族 とか。

俺は何でもない、悪友ってところ。




チャイムも鳴ってすっかり空もオレンジ色になっていた。
気付けば教室にはほとんど生徒がいない。
いるのは、俺と アイツだけ。


頬杖をついてボーっと空を眺めてるので、声をかけずに帰ろうと鞄を肩に。
席を立って一歩踏み出した所で、



「ねぇ」



まさか声をかけられるとは思わなくて、肩がビクリと揺れた。
驚いて振り向くと、やっぱり空を見たままのアイツ。


「ジュースぐらい奢るからさ、一緒帰んない?」



「奢る」?
いっつもパシらせてるくせに。その態度が逆に俺は怖えーよ。
そんなに悩んでんだ、やっぱり。

断るわけにもいかなくて、一緒に帰る事にした。



「………」
「………」



といっても、アイツは席に座ったまま全然動く気がない。
…普通今俺が帰ろうとしてるんだから、このまま帰るだろ。
別に用事あるわけじゃないから良いんだけど。
俺のが負けて(ここでも負けるって…)仕方なくまた席に座った。


「白ってさぁ」
「!」


突然その話を振られるとは思ってなかったからまたビクつく。


「あたしより年上のくせに馬鹿みたいに純粋でさぁ、男のくせにそこらへんの女よりずっと綺麗でさぁ、すごい優しいの」
「…へ、へー」
「結構小さい時からずっと一緒にいた幼馴染でさぁ、シカマルとチョウジとよりも古株でさぁ」
「…そ、そーなんだ」
「前夜、一緒に帰ったのになぁ」



「次の日事故死だもん」



「笑えないよねぇ」
「…あ、あぁ」


本当に笑えねーってばよ!!

空気が重い。出来れば逃げ出したい。
頬を引きつらせながらとりあえず静かに話を聞いて相槌を打つ。これ、いつ終わるんだ?ていうか俺、聞いてるだけでいいのか?


「ナルト」
「な、何だってばよ」




「ナルトはさ 急に消えたりしないでね」




「――…」


まさかそんな事を云われると思ってなくて、目を丸めて言葉を失った。
アイツの顔は見えなくて、何考えてるんだか。
いつも通りからかってんのか?いやでもこの状況で云うとは思えないし…

…まぁどちらにしろ、答えは同じだけど、さ




「――当たり前だろ!!」




俺が笑って云うと、少しだけ見えたアイツは 笑ってるように見えた。










友達以上、恋愛以上、家族未満

(誰よりも 何故か 消えてほしくなかった)

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