「あーもうマジアイツ面白い。ゲーム弱すぎだし」
「…少しは手ェ抜いてやれよお前」
俺、流石にナルトに同情するぜ。
横で頬杖をつきながらあたしとナルトの賭けを見ていたシカマルが顔を顰めながら呟く。
いつも通りあたしがまた勝ってナルトが購買へ駆けていった時の話。
「それこそ失礼じゃない?」
「お前ナルトに失礼なんて思うのか?」
「思わないけどさ」
「だろ。まぁアイツも馬鹿だからお前が手抜いたかなんて分かんないだろうけどな」
「云えてる」
シカマルの言葉にケタケタと笑いながらチョウジから少し貰ったお菓子を食べた。
シカマルはわざとらしい溜息を吐いた後、何故だかお菓子を食べ続けるあたしをジッと見てる。
最初はスルーしてたんだけど、流石にいてもたってもいられなくなったからシカマルを見た。
「…何さ。そんなにあたしが好きなの?」
「馬鹿云ってんな。ただ、」
「お前、笑うようになったと思って」
シカマルの言葉にあたしは目を丸めた。
タイミング良くあたしとシカマルの所には誰もいないし、みんなそれぞれ会話を楽しんでいて見向きもしないし会話も聞こえないだろう。(正直助かった)
まぁ、シカマルも周りの状況を見たから云ったんだろうけど。
「お前って愛想良い分どうも周りから一線置いてる所があるから、笑顔作る事多いんだよな。けど最近そうでも無ぇから」
――…あたしの変化に気付くのなんて、幼馴染のシカマルとチョウジぐらい、だろうな。
小学校から一緒なのはシカマルとチョウジだけで昔のあたしなんて知らないし、中学行ってからも心を開いてたのは二人にだけ だったから。
(でも、普通に友達として他の人たちも好きではいたんだよ。でも素の自分を出せるのは二人にだけ、って話で)
「…そう?」
「あぁ、ナルトが来てから変わった。お前」
「………」
ナルト…ナルトか。
確かにアイツは何と云うか、変な奴で 空気を変えてくれるというか 気分を楽にさせてくれるというか
きっとただ単純馬鹿なだけなんだろうけど、ありのまま接してくれた分、あたしも楽でいられたんだろうな。
『お前がそんなんじゃ、俺本気でお前の事殴れなくなるから。とっとと元に戻れってばよ』
『ナルトはさ 急に消えたりしないでね』
『――当たり前だろ!!』
不器用だけど温かくて、眩しい程輝いてる。
シカマルとチョウジ以外の奴であんなに穏やかな気持ちになれた事、無かったな。
ましてや マジで笑うなんて 思いもしなかった。(アイツが転入してきた時なんか特に)
「――…」
「…そういう顔も久々に見た」
「え?」
ナルトの事を思い出していたらふと声をかけられてシカマルを見る。
昼飯を食べるシカマルはどこか嬉しそうな、穏やかな表情でいた。(何だよ、珍しいな、)
「優しい顔」
「………」
あたしにはイマイチ分からない。優しい顔ってどういう顔だろう。
第一あたし優しくないのに、そんな顔出来るわけないのに。本当にしたんですか、そんな顔、
「変わったよな、お前」
泣いて、笑って、変わって
(…つーより、戻ったって云った方が正しいか?)(あ…あたし、昔こんなだった?)(まだ昔の方が純粋な子供だったぜ)