「すぁぁあああすけぇえええええええ!!!!」
「……」


物凄い慌しく俺のところに来たのは、いつも教室でうるっさい奴…ナルト。
あからさまに怪訝な顔で振り向けば、走ってきたナルトは息を切らしながらもそれを整えることはせず俺にズイッと顔を近づけてきた。(何だよ気持ち悪いな…)


「…何だよウスラトンカチ」
「ウスラトンカチゆーな!!…ってそーじゃないってばよ!サスケ、お前って…」
「?」


ナルトは何かを云いかけたけど、顔を赤くするだけで続きを云えず俯いた。
訳が分からなくて促すがナルトは人差し指を合わせるだけで云おうか迷っている。
…何なんだよ、俺だってそんなに暇じゃない。


「うあ…お、お前よ…その……あの噂、本当なのか…?」
「噂?」
「……ほら…アイツ、好きって、やつ」



……あぁ、そのことか。



「……だったら 何だよ」
「ま、マジなのそれ!?」


仰天するナルトに俺は何も返さない。

ナルトが云う「アイツ」は大抵決まってる。
いつも賭けで負けてる相手いつの間にか好きになってて、恥ずかしくて名前呼べなくなってる馬鹿だ。
…分かり易いよな、本当。


「…ッい、云っとくけどなぁ、アイツ男とか恋愛とか興味ない女だからな!他の女とは全然違うんだからな!」
「知ってる」
「そ、それでも狙ってんのかよ…!?」
「……」


本当に分かり易すぎる。俺にとられると思って焦ってるな。
そりゃあ俺だって、狙ってた。最初は、な。


「…別に、狙ってねぇよ」
「へ?」






『マジで?え、サスケがあたしのこと?うっそだー!』

『…こんな嘘云うかよ』

『…ふーん?そっか、ありがと』

『……』

『でもさ、あたし君のことそーいう風に見れないんだわ。ごめん!』






平然と、悪びれる様子もなく、きっぱりと断られた。
あそこまであっさり断られると正直奪う気力も出ない。
だいたい、あの返事を聞いた時点で答えは二つに絞られるんだよな。


恋愛に全く興味が無いか、


この目の前のウスラトンカチが好きか



…馬鹿で喧嘩っ早くて前なんてやられそうになってたぐらいで(俺が助けてやらなかったらどうなってたか)
駄目な奴だけど、真っ直ぐで芯は強い。
…知ってる。コイツの良さは、知ってるつもりだ。



「?じゃあ、サスケはアイツと付き合おうとか…そういうの全然考えてねぇんだな?」
「あぁ」
「だ、って…す、好きじゃねぇのかよ!?お前、今そう云ったじゃん!」


訳が分からず俺を指差すナルトに俺は盛大な溜息を吐いてから云ってやった。










好きだよ、だから幸せに

(は…あ!?サスケ云ってる意味分かんねぇってばよ!)(…分かんなくて良い。とにかく告白したいんなら早くしてこいよ)(な!し、しねーよ!何で俺があんな奴に…!!)(………馬鹿)






「………」
「…何だってばよ、人の顔ジッと見て気持ち悪い」


訝しげに自分を見つめるあたしに呟くナルト。
あたしはそれには返さずにまたいつもどおりの賭けで買って奢ってもらったパンを食べた。


「……ナルトさぁ、」
「?」
「サクラ好きなんだっけ」


あたしが呟いた瞬間にナルトは飲んでいた牛乳を噴出した。(きったな!)
とりあえずあたしのところまで飛んでこなかったからセーフ。


「なななな何云ってんだってばよ急に!」
「いや別に」
「ていうか!別にサクラちゃんは普通にクラスメート!」
「ふーん?」
「…な、何だってばよその目…信じてねぇな?」


思わず立ち上がって力説するナルトを凝視する。
勿論信じられるわけがない。だって前にサクラ前に顔真っ赤にしてたし。明らかに好きでしょうが。


「…はー青春してんね少年。恋愛かー」
「おい!お前何一人話終わらせてんだってばよ!」
「彼氏とかってさーいると楽しいのかな」


ナルトには答えず一方的に質問する。
ナルトは一度びくりと反応すると(何その反応)、視線を泳がせながら答えた。


「そ、そりゃあ…好きな奴だから楽しいんじゃねぇの?」
「…ふーん。そっか」
「…な、何か今日のお前…気色悪ィってばよ」
「失礼な」


何を疑ってるのか未だに怪訝な顔をしてるナルトに返す。
それから頬杖をついてあたしは食事を続けながら、サスケの言葉を思い出していた。





『俺は アンタが好きだ』





まさか、あのサスケから云われるとは思ってなかった。
だからそれなりに驚いたけど…驚いたけど、すぐに断れた。
中途半端な気持ちでサスケと付き合うつもりは毛頭無かったし、何より、



「――…」



今は、コイツがいる。






「…ナルトー」
「ん?」
「あたし、君のこと好きかもね」
「ふーん……はぁ!!?」



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