※「夢見人たちよ」夢主
「なぁウソップ」
「あー?」
「今日何かあったか?」
「今日?さぁなー。なんで」
「何かキッチンに入れてくんねーんだ!腹減ったからサンジに何か作ってもらおうと思ったのに!」
「ルフィ、」
「!」
「おいで」
ルフィを捜してウソップと釣りをしながら何か話してたのを見つける。
声をかけて手招きすると、犬みたいに嬉しそうにこっちに来た。
それに小さく笑いながら、ダイニングキッチンに招く。
そこには誰もいない。さっきまでナミが一緒だったけど僕がルフィ探してる間に女部屋にでも戻ったみたい。
「何だ何だ?」
「そこ座ってて」
ルフィは云われた通りに椅子に座ってワクワクした様子でいる。
そこまでワクワクされると…ちょっと出しづらいものがあるなぁ…
「はい」
ルフィの正面の椅子に座り、テーブルに包装した箱を置く。
それにルフィは目をパチクリさせて首を傾げた。
「何だこれ」
「開けてみて」
箱をとって不思議そうに見ているルフィに、向かいの席に腰掛けて笑いながら云う。
ルフィは包装紙をとり箱の中身を見て、すぐに目を輝かせた。
そしてその目がテーブル越しに僕へ向けられる。
「これおれのか!?食っていいか!?」
「いいよ」
中にあるのは、僕が作ったチョコ達。
サンジとナミに教えてもらいながら初めて作ったチョコ。
料理は並で菓子なんて作る機会もなかったからあんまり誉められたものじゃないけど、まぁルフィはそういうの気にしなそうだし。
「うめぇ!」
ルフィは食べれるものなら何でも美味しそうに食べてくれる。
ホッとした。
「ならよかった。僕も作った甲斐あったね」
「ん?これお前が作ったのか!?」
「そうだよ。だってどう見てもサンジが作ったものには見えないでしょ?」
頬杖をついて苦笑する。
サンジならもっと綺麗で美味しいものが作れる。あ、まずサンジはルフィにチョコ作らないかな。
「…そっか!!」
そしたら、ルフィは更に嬉しそうに笑った。
笑ったと思ったら、チョコの入ってる箱を僕に渡して、
「?」
あーん、と口を開けてる。
…食べさせてほしい、ってことだよね。
「はい、あーん」
小さく笑ってチョコを一つルフィに差し出す。
ルフィは笑顔でそれを食べた。
「もっと美味くなった!!」
「ありがと」
もう一個!!と頼むルフィにまたチョコをあげる。
…こういうルフィ見てると何か微笑ましくなるなぁ。
戦ってる時の真剣な表情を見ると同一人物だと思えない。
今のルフィは可愛い、戦ってる時は格好良いって感じかな。
「ありがとな!チョコ!!」
「ううん」
ルフィの笑顔を見ると、チョコあげて良かったって思える。
…この笑顔が見たかったからなのかな。
サンジにも手伝ってもらったけど、チョコは後であげるって云ってわざわざルフィに一番最初にあげたの。
何か、一番はルフィが良かった。
ウソップでもチョッパーでもサンジでもゾロでもアスカでも…誰でもなくて、
ルフィが、良かった。
……何でだろう?
ボーっと考えてたら、ふとルフィが僕の作ったチョコを僕の口の中に入れてきて
吃驚して目を開くと、声を上げる隙もくれずに、ルフィが近づいてきた。
「ん…」
テーブルに片手をついて、もう片手が僕の後頭部に回ってキスをされる。
いつもはすぐ離れるのに、今回は長かった。
角度を変えてやがて無理矢理僕の口内に舌を入れてきて、口に入れられたチョコを取ろうとしていた。
妙な、感覚。
バラティエに行った時もやられた。
触れるだけなら沢山やられたけど、こういうのは、全然慣れない。
顔が熱くなって息苦しくなって、ルフィの舌が暴れ回って恥ずかしい声を出してしまう。
うわぁ、僕、何やってんだろう…!
「はぁ…っ」
やっと離れた。
ルフィは息一つ乱していないのに対して、僕だけ必死に呼吸を繰り返している。
口の中にあるチョコはすっかり溶けてしまった。
「ししし!!一番甘くて美味かった!!」
目の前にあった真剣な顔が、すぐに歯を出して笑ういつもの顔に戻る。
そのまま「ありがとな!また作ってくれよ!」と云ってダイニングを出て行ってしまった。
箱の中を見ると空っぽ。
さっきので、最後だったんだ。
「…………」
どうしよう、凄いドキドキしてルフィ見れないよ。