「どうしたの、ウソップ」
「ん?」
ウソップ工場でひたすら武器の開発に勤しむウソップをボーっと見ながら話し掛けた。
ウソップはこっちを見ないまま声だけで返す。
「なんか最近、元気ないよね」
私がそう云うと、ウソップの手の動きが一瞬止まった。
すぐに開発が再開されたけど、私は見逃さない。
「…そんなことねぇって!何云ってんだよ」
「嘘だぁ。私を騙せると思うなよ」
「う……」
ジッとウソップを見ていると、観念したように肩を落とした。
それに私はニヤリと笑ってウソップの前でしゃがんで、顔を覗き込んだ。
「どうしたー?私に話してみなさい」
「………お前に話してもなぁ…」
「どーゆう意味じゃコラ」
殴りかかるとすぐにウソップは謝った(情けなッ)
「………俺ってよぉ、駄目だなって」
「……?」
さっきと打って変わって、ウソップの声のトーンは下がった。
さっきまで無理に明るい声出してたのは分かってたけど、まさかこんなに落ち込んだ声になるなんて。
「俺はルフィやゾロやサンジやロビンやフランキーみたいに強くねぇし、チョッパーやナミみたいに頭も良くねぇ。何も役に立ててねぇんだ、俺」
「…」
「ただの、足手まといだ、こんなの」
……そんなこと、思ってたんだ。
「別に足手まといじゃないでしょ。遠距離ならウソップじゃん」
「けど俺は!!恐くなってすぐ逃げちまうから!!」
何だかとうとう泣き出してます。
あぁもう、情けない奴だ。男だろー。
「泣くな!」
「泣いてねぇ!」
「泣いてんじゃん、ほらー」
苦笑しながら頬にボロボロと流れてる涙を拭ってやる。
「アンタが役立たずなら、私なんかただのノミじゃんか」
「…のみ…?」
「そ」
「役立たずに守ってもらった私はいったい何なのさ」
守ってもらった立場のくせに威張ってる私。
丸い目を更に丸くさせてウソップは驚いていた。
「ウソップはいざという時いっつも私を守ってくれるじゃん。ウソップが助けてくれなかったら、もしかしたら今ここに私はいないかもしれないんだから」
「そりゃ…だって、お前が危なかったら、逃げるわけにはいかねぇだろ」
「うん、だから守ってくれた。それでオッケー」
「…おっけーって」
「私にとってウソップはね、」
「ヒーローなんだぜー」
ニッと歯を出して笑ってみせると、ウソップは呆気にとられてた。
まぁね、少なくとも“キャプテン・ウソップ”ではない。うん。もう手を焼くキャプテンはルフィで充分だから。
知ってる?
私の前に立って私を守ってくれるウソップの背中は、いつもと違って随分大きく見えるんだよ。
本人が知るわけなんて、ないんだろうけど。
知ってる?
本気で立ち向かう時のウソップは、すっごく格好良いんだよ。
死んでも云ってやんないけど。
「……ははっ!そ、そうだよな!俺様はヒーロー!キャプテ〜〜ン・ウソ〜〜ップ!!」
「まぁそうやって馬鹿やってる方がいいよ」
「馬鹿って何だ馬鹿って!!」
「馬鹿うそぷー」
「うそぷーって何だ!!」
怒るウソップに私は笑った。
うん、元通りだね。うんうん。ウソップはこうでなくちゃ。
「安心しろよ!」
「ん?」
「これからも俺様が守ってやるからな!!」
格好良いぜ、私のヒーロー!
(ヒーロー、そういや何かサンジが怒ってたよ)(あぁ!そういや勝手に卵とってったんだった…!)(てめぇかウソップ!)(ぎゃああぁぁぁあああ)
…あ、やっぱ格好悪いかも