「出張! ブリテンお悩み相談室〜!」
軽快なBGMとともに花のエフェクトがキラキラと空中を漂った。
「このコーナーはマスターくんと絆10[#「10」は縦中横]になった僕、花の魔術師マーリンお兄さんが夜毎悠乃ちゃんのお悩みを解決するコーナーだよ」
真っ白な空間に一つの机を挟んで椅子が二つ。両肘をついてにこにこと向かいに座るマーリンは背景が白いので同化して見えないということにして帰れないだろうか、と思わず考えてしまうほど驚くべき馬鹿馬鹿しさだなと悠乃は目を座らせた。
そんな悠乃の様子にも一切頓着せずマーリンは軽やかに口を開く。
「ということで、こんばんはマイロード。今日のご用件は何かな?」
「お前を消す方法」
「サービスサポート外となります」
サブカルチャー方面に明るい伝説の魔術師なんて最悪だ。
「何やってるのマーリン。暇なの?」
「私と絆を深めるともれなくお悩み相談ができるようになるんだよ。まあいつ出張するかは私の気分次第だけど。かのアーサー王も利用した超絶リッチなサービスだ」
「アルトリアかわいそう……」
こんな夢魔に夜毎押し掛けられて、きっと多忙極まる王生活の中で最も気の休まらない時間であっただろう。
「それでそれで? 何か困ってることとか悩んでることは? 僕としては恋愛ごとの話なんかだと飯の種にもなって一石二鳥だな〜」
「特にないけどこのサービスの解約方法を知りたいね……」
「う〜ん、霊基変還とか?」
お前霊基に収まってないんだからそれ意味ないだろと突っ込むのも面倒だ。何か適当に相談して早く帰ろう。
「あ〜……マーリンは大事な人に告白された時ってどうするの?」
ぴしり、とにわかにマーリンの胡散臭い笑みに亀裂が入る。は? と怪訝な顔をしたのも束の間、ガタンとマーリンは席を立つとこほんと軽く咳払いをした。
「君がそのような質問をしてきた背景には非常に物凄く興味があるけどそこらの話は僕にはちょっと地雷でね! 今晩の相談はこの辺りでお開きにしよう! それじゃあまたいつか!」
ぽんという音とともに見えたのは自室の薄暗い天井だ。ため息をつく。
「……相談室とか向いてないから辞めたほうがいいよ、マーリン」
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