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ニュース番組にチャッチャッチャという軽快な音を横で聞きながらジャッと音を立ててジッパーを引き上げれば完成だ。

「ハロ、ご飯は食べたな」
「アン!」

嬉しそうにぶんぶん尻尾を振るのは最近家族になった愛犬、ハロだ。
彼にハーネスとリードをつければ準備は完了だ。

「さぁいくぞ!」
「アンアン!」

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「ふぅー…流石にハロもまだまだ元気だな」

いつものトレーニングをしながら走り込みをして、公園でハロとボール遊びをしていたが流石に疲れた。ハロも疲れたようで水をがぶがぶと勢いよく飲んでいる。

「はは、そんなに慌てて飲まなくても…ん?」

水を勢いよく飲むハロに苦笑していればいきなりハロが吐きそうな体制に入る。

「ガフッ!ガフッ!」
「…吐けないのか?」

ハロは吐きそうな体勢をしているが、出てくるのは涎だけで何も出てこない。
いつもと違う様子のハロに俺は頭がショートしていたのだろう。”病院に連れていく”という考えが出てこなかった。
その時だった。
白い足が見えたと思って顔を上げればこちらをじっと見ている巨大な犬がいた。

「…これはボルゾイか?」

白い体毛をまとったボルゾイは一声「ウォン!」と鳴くと、遠くから走ってくる音が聞こえる。


「レオ、いきなり走って…零?」
「え…#mio#」

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