・新一(コナン)のみが彼女の正体を知っている。
・降谷は公安だとばれている。
・降谷と夢主は恋人関係である(本編に関係なし)。
・ほぼ新一(コナン)目線。
・ルパンとは協力関係
・流血シーン有
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「それで小さな探偵さんは一体何を考えているのかしら?」

そう聞いてきたのは父母の親しい友人だという沢田三雲さん。
彼女はあの世界的有名なボンゴレ会社の秘書…というのが表向きの仕事だが、実際はイタリアにある巨大なマフィアグループの血縁者で、弟である沢田綱吉さんの補佐をしているかなり裏の社会じゃ有名な人らしい。
ボンゴレファミリーはいわば白マフィアで、麻薬等いわば黒いことはしないマフィアグループだそうだ。ただ、殺し専門の部隊はあるらし、しっかり武器を所有している。
三雲さんの机に置かれている小さな匣も武器らしいが、どこが武器なのだろうか…。

「おーい?」
「あ、ごめんなさい!!考え事してた!!」

あぶねっ考え事してて答えるの忘れていた。三雲さんは「ふーん」と言いながら紅茶を飲む。
彼女のことを知っているのは今の所俺と俺の家族だけ…。恋人関係にある安室さんにも本来の正体を伝えていないらしい。赤井さんも彼女のことを怪しんでいるが、俺のことも他言無用にしてもらっているし、護ってもらっている関係にあるので、俺も赤井さんと降谷さんにも彼女のことは伝えていない。
あの安室さんとどうやって恋人関係になったのか分からないが…今回は別の件が主な用事だ。

「ちなみにボンゴレはどう動くの?」
「まぁ、ボンゴレとしてはルチアーノを始末できたらいいかなって思っているの」
「…殺すの?」
「己の私腹を肥やし、世界を壊そうとする奴に生きている資格はないと思うのだけど?」

その言葉に彼女は口元に笑みを浮かべる。どことなくそのマンダリンガーネットの瞳に影がかかったように見える。
この人は弟の綱吉さんと同じでとても温厚で優しい…だが一つ違う部分がある。それが"マフィアらしい一面を持っている"ことだ。己の世界に手を出す人を容赦なく始末しようとするのだ。

「ま、今回はマフィア同士の問題…子供である君は関与しないことね。そのためにこれからのことを教えたんだから」
「…分かったよ」

三雲さんはその言葉を聞くと満足そうに俺を送るように天野さんに頼んだ。天野さんは俺を影から護っているバジルさんに頼んでいる。
今回ボンゴレはルパン一派と手を組んで、ルチアーノをあぶり出し、取引のブツとなるヴェスパニア鉱石を回収することが目的らしい。
ルパン一派はヴェスパニア王国からの依頼で、マフィアが関係していると気づいた時点でルパンはボンゴレにその話を持ち掛けた。ボンゴレは本拠地であるイタリアと初代が過ごし、現ボスの故郷である日本で事が起きるのを嫌う傾向があるらしい。何より元々自警団として活動していたボンゴレにとって民を、世界を護るのは当たり前のことで、すぐさまルパン一派と手を組んだらしい。
ヴェスパニア鉱石に関してはルパンに任せているらしいが、彼女等は事の発端であるルチアーノを始末するようだ。
そして何かと事に関わってくる俺に今回釘を刺しにきたらしい。既に片足浸かっているから引き下がるつもりはないけどな…。


「あいつ絶対関わってくるっスよ」
「知っている」
「どうするんです?」

匣から出してあげたライファーンの首を撫でてあげれば「クルクル…」と小さく鳴いている。天野はコナンが帰った後盗聴器を探して、無いことを確認すると上の言葉を言ってくる。
今回の目的を言ったところで絶対あの正義感の半端ない探偵は首を突っ込んでくる。そんなことは分かり切っていた。

「だからこそフランを呼んだのよ」
「霧、ですか…」
「そ、フランをね」

そう言って笑った私に天野は苦笑する。

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「手を挙げろよ?ルパン三世?」

俺の言葉に目の前の大怪盗は苦笑しながら銃を下ろす。
俺は三雲さんの作戦を聞いてすぐさま赤井さんに連絡をした。赤井さんは博士の家にいる少女を護るため、手伝いに行けないといい、ジョディ先生とジェームズさんに事を伝えてくれた。
そしてFBIと共にルパン一派にルチアーノファミリー、アランスミシー、そしてボンゴレの人たちを抑えることに成功した(全員手錠を付けている)。三雲さんには悪いけど、どんな悪党でもやっぱり法で裁かないといけないと思うんだ。

「ったくいつまで芝居をしなくちゃならねぇえんだぁぁあああ!!!おいフラン仕事しやがれぇええ!!」

突如ガッと吠えたのは銀色の髪を持った(どことなくあのジンに似た雰囲気を持つ)人がそう言うと、どこからともなく霧がやってくる。

「はいはーい、フランですよ〜」

そう言って倉庫の入口を見れば蛙の帽子?を被った黒いコートを着た青年がいた。すぐさまジョディ先生が銃を構えて動くのをやめるように言うが、彼はこちらをチラッと見ただけだった。
そして彼がパチンと指を鳴らすと、ボンゴレの二人の姿がユラっと揺れて消える。そして倉庫入口から先程捕えていた二人が現れる。

「お嬢から指示です、"ヤレ"」

その言葉を聞いたボンゴレの二人はそれぞれ指に付いていたリングに炎を灯し、三雲さんが持っている匣に似た物に差し込む。
青い匣からは巨大なホオジロザメが、赤い匣からは持ち主の彼に似たようなミンクが出てき、藍色の匣からは無数の蛇が出てき、俺を含めたFBIの身体にまとわりつき、動くことができなくなった。その間にルパンは手錠を外していた。
アレが武器なのか!?あまりのことに驚けば、更に奥からコツコツとブーツの音が聞こえる。

「三雲さんっ!!」
「やぁやっぱり首を突っ込んでいたね…さぁ仕事よライファーン」

彼女は彼らと同じようにリングに炎を灯すとそれを腰に付けていた匣に差し込む。
そこからは白い鳥のような生き物が現れる。
ライファーンと呼ばれたこの鳥は顔は狼で身体は鳥(多分猛禽類)で、羽毛(毛皮?)は真っ白だが、羽先などがオレンジ色に光っている。

「ライファーン形態変化」

三雲さんがそう言えば鳥だった姿は一対の白い双剣に姿を変えた。
倉庫内はホオジロザメが降らせる雨で濡れ、赤いミンクの尻尾で燃えるルチアーノの部下がいた。
三雲さんは迷いなく、ルチアーノの目の前まで歩く。

「ルチアーノ、貴様は己の私腹を肥やすために他国のモノを盗み、それを譲渡していた。ボンゴレは貴様を危険人物として排除する」
「や、やめてくれっ!!!やめ、ぎゃあぁぁぁぁああああっ!!!!」

まるで"話すな"と言わんばかりにホオジロザメがルチアーノの頭にかぶりつく。
思わず目を閉じてしまったが、その時に三雲さんが振り上げた双剣が一瞬見えた為すぐさま目を開けてやめるように頼む。
だが彼女はこちらをチラッと見るだけで無情にもその剣を迷いなく振り下ろした。
辺りに血が飛び散ったと思った瞬間ルチアーノの身体は赤よりも紅い炎によって包まれた。
あぁ…助けられなかった…。そう思った瞬間俺の意識は闇に落ちた。

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「はっ!!」
「あ、起きましたか〜?」

そう声をかけたのはターコイズのような髪色を持った青年…。
ガバッと身体を起こしてあたりを見渡せば、そこは三雲さんの部屋だった。

「夢…?」
「やぁコナン君起きたかい?」
「あ、うん…それより俺…空港の倉庫で…って今何日!?」
「なに言ってるの?」

そう言って頭を傾げる三雲さんが日にちを教えてくれた。その日はエミリオのライブが終わった次の日だった。

「ねぇ三雲さん、エミリオのプロモーターって…」
「あぁ、この人でしょ?」

そう言ってTVをつけてもらうと、そこにはエミリオの横でにこやかに手を振っているルチアーノがいた。
確かに俺の記憶ではあの人は死んだはずだった。だが生きている。その後も質問しても明らかに俺が見たモノとは違う結果が帰ってきた。俺が見ていたのは夢?なのか?でも確かにリングから炎がでたり、匣から動物が出てくるわけないよな。

コナンがどことなく不思議そうにしつつも納得している様子を見て三雲とフランは小さく笑みを浮かべた。
真実は霧の中へ…。


FIN