初期刀を選んだ日の風呂
(ナチュラルに一緒に入ろうとしている)
※設定資料集の内容含
「あれ?」
風呂に入ろうと脱衣場で身支度していると、主が不思議そうな声をあげた。
「どうかしたが?」
「いや、ごめん陸奥守。手入れが足りてなかったみたいだ」
彼は申し訳なさそうに言い、こちらの脇腹を指差す。
指された部分に目をやると、さらしを外したそこには斜めに走る1本の傷跡があった。
その部分の皮膚だけ少し茶色く、微かに皮膚が盛り上がっている。太く長い傷跡だった。
ははあ、人の体だとこう残るのだな。
記憶をなぞるように、その傷跡を指で撫でた。
「初めての手入れだったとはいえ、気付けなくて悪い。もう乾いているみたいだけど、痛くないか?」
「……おん、痛うはないぜよ」
顕現した時はさらしの下に隠れていたのだろう。
先ほど行われた手入れも刀本体に施されたものだから、この傷跡をこうして見たのは己も初めてであった。
「これは、ここに来る前のものちや」
「……顕現する前?」
コクリと頷いてから、主の頭をワシャワシャ掻き回す。
「うわ!なにすんだよ!」
「がっはは、心配せいでも大丈夫じゃ!ただの古傷やき!」
やめろと仰け反る頭から手を離すと、乱れた前髪の隙間からジロリと視線が飛んでくる。
「……大丈夫なんだな?」
「新しい主は、心配性やにゃあ」
からから笑う様子を見て少し安堵したのか、主は表情を和らげた。
それを見てまた笑うと、頬をギュウとつねられた。
ああ、痛うないぜよ。