日付が変わった頃。
彼氏彼女となった私達は、専ら同じベッドの上で互いの体温に身を寄せている。
彼の声も身体も、仕草も全て、今では私の心を掴んで離さない。
この家に越してきた時は、こんなことになるなんて予想すらしてなかったな。
『はぁっ…左之っ…』
「愛してるぜ」
情事の最中、必ず耳元でそう囁いてくれる左之。
ベタだけど、この瞬間がとっても幸せ。
ひたすら求められて、大切にされてるって思えるから。
『あっ…もう、イくっ…』
「ああ、いいぜ」
『ぁっ……あぁっ…!』
私が果てた直後に左之のもビクンと脈打って、お腹には温かいものが振り掛かる。
この時の左之の顔が何とも色っぽくて、好きだっていうことは内緒だ。
『はあ、疲れた…』
「疲れたとはご挨拶だな」
『だって左之は激しいから』
「誰と比べてんだよ」
『別に比べてるわけじゃないよ。ただこう毎晩激しくされると疲れるなって』
「なんだよ、俺とすんの嫌なのか?」
『嫌じゃ…ないけど……』
ごにょごにょと言葉を濁す私に左之は微笑むと、お腹を拭いたティッシュをごみ箱に投げ入れて、私を腕の中に抱きしめた。
『ね、キスして?』
「ん…お前はキスされんの好きだよな」
『ん、好き……』
「俺のことはどうなんだよ」
『好きに決まってるでしょ、馬鹿』
「馬鹿は余計だろうが」
付き合い始めて早一ヶ月。
毎晩の様に左之の部屋に連れてこられては、こうして肌を重ねて同じベッドで眠ってる。
職場も一緒、家でも一緒。
それでも飽きるどころがどんどん好きになるのは、私達の相性が良いからだと信じたい。
左之も私と同じ気持ちだって信じたいよ。
「そういや、今日また土方さんと外出しただろ」
『なに、ヤキモチ?』
「仕方ねぇだろ、嫌なんだよ」
『ふふ、左之っては可愛いんだ』
「何馬鹿にしてんだよ、また襲うぞ?」
ムッとした表情を浮かべて私に覆い被さってくるけど、怒った顔も嫌いじゃないな。
『仕方ないじゃん、仕事なんだから』
「別に駄目とは言ってねぇだろ?」
『でも怖い顔してるもん』
「お前が毎度毎度土方さんを格好良いだなんだって言うから悪い」
『仕方ないじゃん。格好良いんだから』
さらっとそう言ってみると、より険しくなる左之の顔。
本当は左之が一番格好良いって思ってるけど、こうやってヤキモチ妬かれるのが嬉しいって言ったら怒るかな。
「じゃあ仮に俺が千鶴を可愛いって連呼してたらどうすんだよ」
『そんなの、殴るにきまってんじゃん』
「怖ぇな、顔がマジになってんぞ」
『だってそんなの嫌だから。左之には私だけ見てて欲しいもん』
「俺はお前しか見てねぇよ」
そう言って重ねられる唇は温かい。
毎日幸せで、本当に幸せで。
こんな日々がずっと続いて欲しいと思った夜だった。
#hr#