こんな展開は望んでない






「お待たせぇ!親分特性のパエリヤやで!」

部屋にいい匂いが鼻を掠める。
同時におぉ。と歓声の声がどっとあがった。

「パスタもできたぞ。コノヤロー」
「おかわりも沢山あるよ〜」

次々とイタリア、ロマーノ、スペイン3人が料理をどんどん持ってきてくれる。流石は美食家と言わるだけあって、とても美味しい。どうしてスペイン料理とイタリア料理は三大美食に入らないのだろう。トルコ料理もフランス料理も中華も美味しいが。
私がありがとうと言ってロマーノが作ったパスタを盛りつけた皿を受け取ると、ロマーノは少し顔を紅くしておう。と返事をした。
突然、イタリアがロマーノの二の腕を肘でつつきながら、ニヤニヤとなにかを話し始めた。

「うわっ…ちょ、バカ弟、食べ物が溢れるだろ!」
「いいなー兄ちゃん。なまえちゃんににありがとうって言ってもらえて。ね、俺の皿も受け取ってよ」
「え?別にいいけど…」

どうして「いいなー」と言ったのかが皆目検討もつかない。私はそこまで恵まれた容姿をしているわけではないのだ。つまりイタリアは私をフォローしているのか。何に対してフォローをしているのか分からないが。
…自分で言って少し虚しくなったのは誰にも言えない。
周りが美人、可愛い人が多すぎんだよ。ハンガリーさんとか、リヒちゃんとか。

「なまえさんは相変わらず恋に関しては鈍いですからねぇ…いや、まだ会って間もないのですから当たり前でしょうか?しかし、一目惚れというのも…」
「に、日本?」
「おーい!なまえー!日本がなんかおかしくなったんだそー!」
「大丈夫だよ。通常運転通常運転」
「どこがだい!?」

祖国はよく何かをぶつぶつ言っているのは家の中でよく見かけるので慣れている。が、アメリカとイギリスは見たことがないらしい。
イタリアとドイツは見たことがあるから別に普通だし。やっぱり祖国は通常運転なんだよ。と、二人に行ったところとても反論された。
そんな私は二人に言った。

「…二人共、祖国は綺麗な聖人じゃないんだよ?」
「え?」
「は?」
「なまえ…お前、酔ってるだろ。」
「いや?」

まず私は未成年ですよ?もうすぐ二十歳にはなるけど。えー…と思いながらもガラスに入っている透明な液体の匂いを嗅ぐ。
…日本酒のような匂いがした。

「本当だ。酒だ。」
「!?おっ、おい日本!みょうじが酒飲んでるぞ!」
「なんですって!?」
「驚くことではないでしょ…酒って分かったら何かクラクラしてきた。」
「あぁぁぁぁあ!なまえ!大丈夫かい!?」

ぐわんぐわんと強く肩を捕まれ首と頭を思いきり揺さぶられる。脳がぐるぐると回るような感覚に吐き気がする。
…気分が悪い。初めてお酒を飲んでみたが、ドイツはこんなものを沢山飲み干すのか、怖い。

「頭を揺さぶるな壊れる」
「あ…ごめん」
「なんやぁ?なまえちゃんになんか合ったん?」
「スペインさん…実は…」

祖国が背の高いスペインにごにょごにょと何故か私に聞こえないように耳打ちを始めた。スペインは緑の綺麗な瞳を大きくさせ、かと思いきや私に抱きついてきた…あ、スペイン体冷たい。気持ちいい。

「なまえちゃん酔ってしもぅたん?かっわえぇーなぁ!」
「んー…スペイン、気持ちいい。」
「なまえさん!スペインさんから離れなさい!」

どこから出してきたのか、祖国は私とスペインを引き離した。それに加わるようにロマーノもスペインを後ろへと引き連れた。そしてイギリスにボールを渡すかのように投げた。勿論仲の悪い二人の事なのだから、喧嘩になったのは言うまでもなく。ドイツが怒鳴り、それで周りのテンションが下ったのでホームパーティは解散となった。私の酔いも冷めた。

「ヴェー…俺、ろくに何も食べてないよぉ…パスタ食べておけばよかったなぁ。」
「元はといえばスペインに突っかかったイギリスが悪いんだぞ!」
「何で俺なんだよ!バカァ!」
「分かりました。分かりましたから…はやく帰りましょう…あ、なまえさん。」
「はい?」
「もう遅いので今日はホテルに泊まろうと思うんですが…、ロマーノさんと私達と、どちらと寝ます?」

はい?
ロマーノも、皆も祖国の一言のせいで一気に固まったのを感じた。