心の音が爆発寸前






「いやー、ごめんね?お風呂貸してもらっちゃって。」
「ぉ、おう!」

俺と同じのシャンプーを使って、俺の一回り小さくなった古着を着ているのに、俺とは違う甘い匂いを出している
なまえ。……正直に言うと、ドキッとした。少しあの愚弟が言っていたことが分かるかも知れない。
『なまえちゃんはね、特別美人って訳でもないけど、あのドイツの態度が柔らかくなるくらい、魅力的な人なんだよ。』
正直、意味が分からなかった。美人ではないのに、魅力的?そんなの、矛盾しているではないか。そう思っていた。が、今なまえを見ると、とても魅力的に見えた。
なまえの髪は水分を普段よりも多く吸い取っているため、しっとりと濡れてなまえ特有の焦げ茶のような、黒のような不思議な色が部屋の電気で光っている。頬は紅に染まっているし、スペインと同じの瞳は心なしか潤んでいた。おまけになまえは今俺の服を着ているのだ。小さくなって着ていなかったとはいえ、150cm代の身長しかないなまえには大きいようだ。腰辺りまで裾は余っているうえ、袖口も余っている。
そんななまえが妙に幼く(実際に20歳にも満たないらしいが)みえて、それがどうも気まずくなって、なまえを視界から退けるように目を伏せた。お互い、口を開かずに黙りこくっている。時計の秒針の音のみ響いた。先に口を開けたのはなまえだった。

「ねぇ…やっぱり、無理矢理ロマーノの家に上がり込んじゃって、ごめんね?」
「はっ?…………あ、いや、べ、別に」
「……ううん、ごめんなさい…」

しょぼん…と効果音がつきそうなほど背を丸めているなまえを見ていると色々と罪悪感が出てきた。
確かに、今回なまえがいるのは、日本がどこに泊まるか。と問いかけたときに一番無害そうだから。そんな感じの理由で俺の家に泊まることになった。
普段の俺なら口からぽんぽんと甘い言葉でも吐いて女を勇気付けるというのに。なまえの前だとあまり言葉が浮かんでこないのだ。最初出会った時は言えたのに。

「そんなに謝んなよ…キチショー…」

無反応のなまえの濡れている髪を撫でる。まるで子供をあやしているようだ。少し、昔を思い出した。その昔とは違って撫でられるのではなく、撫でる側だが。

「…寝るか?」
「う、うん…」

気まずい空気の中、なんとか会話を成立させて寝ることになった。なったのはいいが少し問題が起きた。
俺と、なまえの寝床である。
ダブルベッドだが、俺はベルギー意外とは一緒に寝たことがない。よって自動的に俺が床かソファに寝ることになるだろう。女を床に寝かすのは個人的に気持ちが悪くなる。罪悪感でいっぱいになるのだ。

「なまえ、お前はベッドで寝ろよ?」
「え?ロマーノは?」
「ソファで寝る。」
「…体痛くなっちゃうよ?」
「は?」
「一緒に…寝よ?」

固まった。本当に固まった。あって間もないというのに、なまえは添い寝をしようと言ってきた。
「駄目…?」と首を傾げる様子はとてもかわいいく見える。かわいいく見えるが言ってることはあり得ないだろう。本当に日本の国民なのか?
まず俺は寝るとき裸で寝る。日本では裸で寝る奴なんて少ないはずだ。もうこの時点でアウトだろ!
悶々と考えているとひんやりと、しかし直ぐに俺の首筋の体温と同じくらいになった物体に首筋が触れた。なまえの顔が近かった。

「、ぅお!?」

思わず飛び上がる。

「大丈夫?…顔、赤いけど」

赤いのはお前のせいだ!
そう大声で言いたかった。頑張って飲み込んだが。

「…とりあえず今日はソファで寝るからな。俺は。」
「え…「心配すんな。ソファで寝るのなんて、慣れてっから。」
「うん…」

少し寂しそうな顔をしてなまえはあらかじめ教えた俺の部屋へと戻っていった。

「何でそんな悲しい顔すんだよ…なんか調子狂う。」

慣れてるはずのソファがやけに居心地悪い。
そう思いながら就寝した。