通常運転


あのパーティーから数日がたった。みょうじが女だったことも判明して数日がたった。みょうじが女だと分かった時には俺も含めて男子がみょうじと接するときややぎこちなかった気がする。花村と十神と狛枝以外は。
そして、みょうじは罪木との接触度が大きくなっていった。それは、朝食の時でもそうだ。

「あ、…あのぅ、みょうじさぁん…私が言うのもおこがましいんですけどぉ、腰にある、手をどかしてくれませんかねぇ…?」
「ダメか?」
「ふえぇ!?だっ、駄目ではありませぇん!」
「じゃぁこのままでいいな。あ、花村そこのご飯くれ。」

罪木は勿論、大体の皆は顔を赤らめてるしみょうじはみょうじで呑気にご飯を食べてるし…なんだこの状況。西園寺もいつものように罵声を出さないのは相当だぞ?

「んっふふふ。みょうじさん羨ましいなぁ。罪木さんの腰を堂々と抱けて。」
「女の特権だ。」
「百合だねぇ。禁断の恋だねぇ!」
「ふゅぅ……ひ、日向さぁん、助けてくださぁい…」
「お、俺に振らないでくれ…!頼む…!」
「罪木さんは私よりも日向がいいのか?」
「ふぇぇええ!?な、なんでそんなことになるんですかぁ!?」
「煩い。静かに食事も出来んのか。」
「そう言って、本当は羨ましいんだろ?十神。まぁ、金を積まれてもこの場所は譲らんが。」
「………好きにしろ」

みょうじ、お願いだからドヤ顔でそんなことを言わないでくれ。十神ももうちょい頑張ってくれ。俺の為にも。七海はご飯を食べながら寝ないでくれ。小泉も助けてくれ。頼む!

「女の特権つってもよぉ、みょうじ。お前最初っから罪木にベタベタしてたじゃねぇか。」

ナイス。左右田。お前とは仲良く慣れそうな気がする。

「一目惚れだからな。」
「…………は?」
「愛があれば性別なんぞ関係ない。」
「……無駄に、格好いいこと言うね」
「小泉も分かるか!?」

多分共感の意味では言ってない。嫌味のつもりだと思うぞ、みょうじ。
見てみろ小泉の顔。引き攣ってるぞ。
なんで気づかない。

「ゲロブタに一目惚れとか!みょうじおねぇ、目が腐ってんじゃないのー?」

くすくす。と可愛く笑うけど言ってることはゲスの西園寺。みょうじは華麗にスルーして罪木についていた食べかすをとってそれを口に含んだ。もう色々とアウトな気がする。
西園寺もしてほしいのか?やってもいいぞ。さぁこい。
そういうみょうじ。もうお前はダメだ。
そう思って俺は頭を抱えた。