睡眠時間は7時間


それ以上でもそれ以下でもダメとはいうけど

とある研究者は言った。
人間は一日7時間の睡眠が一番長生きする時間だと。

じゃあ、今の彼女は酷く寿命を短くするのではないか。そう思った。


「もっ…もう無理です…なっなっ?」
「モンちゃんは無理でも私は平気よ。」
「理不尽!」
深夜、皆が寝静まった頃の会話。
久々に仕事のノルマが達成したので、と早く寝ていたベッドに彼女が入ったのが12時、それから散々遊ばれて現在は2時。
2時間もしてれば十分だ。と言いたいところだが、目の前の彼女は然程疲れた様子を見せる事なく黙々と行為を続けようとしていた。
「明日は仕事がオフなのよね〜」
「俺はあるの。」
「あらそうなの?」
そう言って首筋に頭を埋めて小さい口で強く吸い付く。
チリリとした痛みが首から走り、特徴的な八重歯を食い込ませてきたので少しだけ皺を寄せて痛みに耐えた。
唇を離したと思ったら、吸い付いた場所をベロリと熱い舌で舐め上げてくる。
まるで吸血鬼のようだ。
「ちょ…本当にもうっ…!」
「だって、モンちゃんが足りないんだもの」
低く、少しだけ狼が唸るように囁いたサクラさんに、びくりとした。
そういうコトを言っていただけるのは男としてとてもうれしい、このままなぁなぁでなんとかやめていただこうとしたが…こういうのはちょっと。
「…ずるいんじゃないか」
「知ってる」
両手で彼女の頬を挟んで額をくっつけると、優しく鼻頭にキスを落とされた。
まったく、こういうのは男女逆なんじゃないか?と思うけれど、自分はこういったコトを自分からするのは得意ではないし、きちんと行動でしめしてくれるのはありがたい。
ね?と小さく首を傾げられれば、断れないのを知られている。
そんな彼女は自分より年上で。
「はぁ…、いいぞ」

寿命が短くなったとしても、今が幸せならと、彼女は言った。