『お前達がそれほどまでに変えたいと願うならば、我がその望みを叶えてやる。だが肝に銘じておけ。お前達を送るのは、限りなく近く、限りなく遠い過去の世界。決して同じ世界ではない……努々それを忘れるなよ』
その言葉の意味を深く考えず、ただ、やり直しが出来るのだと喜び勇んで頷いた者達に、男……ローレライは、くつりと笑う。
変えるのだと、自分達ならば未来を変えられると、本気で信じている馬鹿な者達。
彼らはもう忘れてしまったらしい。ユリアの詠んだ預言の未来、その矛先をほんの僅か逸らすたったそれだけのために、数多もの命が犠牲になったことを。
それほどの犠牲を払わなければ、得られなかったものだというのに。
『ならば、願え。念じよ。『ルーク』の生存する未来を紡ぐために』
第七音素が収束する。プラネットストームの光にも似た閃光が辺り一帯を包み込み、可聴域を超えた静寂がびりびりと草木を揺らす。
──そうして、どれほど経っただろうか。
一時後、ローレライは、誰も居なくなった渓谷を背に、その場を後にした。
『命を代償に守り切った未来を捨ててまで望んだ世界、精々大切にするがいい』
そして、世界は急転する。
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