春惜しむ






月島さんと結婚してから初めての春を過ごした。
お付き合いをしていたときも何度も月島さんと一緒に春を過ごしたけど結婚してから初となるとまた違った風に感じ取れた。

「月島さん、お散歩行きませんか?」
「散歩?今からか?」
「お夕飯の買い出しも兼ねてですよ」
「.......。少し待ってろ」

今年だけは月島さんと春をもう少し感じていたくて、散歩も夕飯の買い出しもただの口実にすぎない。

「おっ。見ろ、名前。もう桜の木に若葉がついているぞ」

言われて上の向いてみると月島さんが言った通り、桜の木に若葉がつきだしていた。
ああ。春が終わってしまう。

これから、何回も何十回も月島さんと春を迎えられるけど、この初々しい春だけはもう感じることはできないだろうな。そう思うとまだ春でいてほしいという思いが強くなる。

「もうすぐ...夏が来ちゃいますね」
「そうだな。また去年みたいに猛暑日が続くのは勘弁だ」

シャツがベタついて気持ちが悪いと心底、嫌そうに顔を歪める。
全くこの人は私が、おセンチな気持ちになっているというのにそんな気も知らないで少しぐらい察してほしい。

「今年の春はなんだか惜しい気がするな」

彼がぼそっと呟いた言葉に驚いた。
あなたも私と同じように感じているんですか?
ねぇ、月島さん。