恋に落ちて(轟洋介)
Twitterでのお題箱より【村山妹に恋した轟】
※設定捏造してますのでご注意ください。





「あの、定時の教室ってどこですか?」


校門を出たところで知らない女子高生に声をかけられた轟。
他校の制服を着ているその女子高生は自分のスクールバッグとは別にもう1つ大きい鞄を抱えていた。



「…何、定時に用事あんの?」
「はい、兄が忘れ物しちゃって」



その大きい鞄を持って困ったように笑う。
定時の奴にろくな奴は居ない…。
厄介なことに巻き込まれたと顔に手を当てて溜息を付く轟を見て彼女は申し訳なさそうに謝る。



「すみません、場所さえ教えてもらえれば行きますので」



そう言って「教えてください」と頭を下げた。
今日に限って辻も芝マンもさっさと帰ってしまい一人だった轟はめんどくさそうに定時生徒が集まっている教室への道を説明しようとした。
しかし、説明するにも校舎内はあのように荒れている。普通の人が入って行くと確実に迷うか絡まれる。
別に自分は関係ないと思いつつも心のどこかで引っ掛かるところがあった。
あぁ、くっそと考えるのがめんどくさくなった轟は眉間にしわを寄せて踵を返して、また校舎に向かって歩き始めた。



「着いてきて」
「ありがとうございます!」




 * * *




荒れている校舎内を歩いている2人。
周りの鬼邪校生がニヤニヤした顔をして見てきた。
足元に散らかる机を避けながらチョコチョコと後ろを着いてくる彼女を横目に轟は足を進める。
どうして案内するなんて言ったんだ自分は。
『あっ』と後ろで小さく声が聞こえたかと思ったら、後ろにドンッと衝撃があり足を止めた。



「…」
「す、すみません」
「いや、」



振り返ると躓いたのか、倒れ込むように轟の制服を掴んでいる女子高生が居た。
上目づかいで見上げる女子高生。
目が合った轟はそのまま固まった。
小さい手が自分の制服を掴み、見上げる目は大きく、小さく開いた唇から目が離せない。
まるで後頭部を鈍器で殴られたような感覚が襲い、動くことが出来ない。
なんだこれ、頭の中が真っ白になる轟。
その感情が何かわからずジッと彼女のことを見る。
見られている彼女もどうしたものかと首を傾げた。





すると、今度は物理的な痛みが背中に走る。
足元に転がる野球ボール。
ゆっくりと後ろを振り返ると視界にはバット持ってる村山、関と古屋もこっちを見ていた。



「轟じゃーん、何しに来たんだよ」
「村山…」




暢気に話しかけてきた村山に対して、轟は苛立って近付こうと足を踏み出す。
しかし、それより早く横を通り過ぎる人物。



「お兄ちゃん!謝って!」



そう言って村山の前に立つ女子高生。
【お兄ちゃん】という言葉に辺りが静かになる。



「・・・・は?」



轟の間抜けな声が響く。
女子高生に謝れと言われた村山は謝る気はなく、手に持ってるバットで遊び始める。



「たまたまだってー。それよりも、なんで#なまえ#がここに居んの?」
「お兄ちゃん、泊りだって言ったのに鞄忘れて行くんだもん」
「あー、忘れてた」
「もう・・・。それよりも、彼に謝って」



ぷんぷんと怒る彼女と鞄を受け取る村山のやり取りを見て轟は固まる。
関や古屋は慣れてるのか彼女を宥めているようだ。



「……悪かったなー、轟ー」
「……待てよ」
「あ?」
「今、その子お兄ちゃんって……」



天を仰いでから、轟に謝る村山。
しかし、轟は理解が出来ず混乱している。
目の前で繰り広げられるやり取りにまだ頭がついていかない。
すると村山が彼女の肩に肩を回す。



「そっ、俺の妹」
「は?」


『似てるだろー』と言ってる村山が妹と呼ばれる彼女に抱きつく。
彼女は『ちょっと、やめてよ』と困ったようにあしらう。
全然似てない、どこが似てんだよ、と心の中でツッコミを入れながら轟の視線は彼女に向いていた。
無意識に彼女を見ていた。

あ、この感情はーーーーー




ジッと彼女を見ている轟に気付いた村山はギュッと彼女に抱き着く。



「可愛いからって惚れんじゃねぇぞー」


「っっ!!誰が!!」



顔を逸らした轟の耳が赤くなっているのを見て村山は『面倒なムシが付いちゃったなぁ』と思うのであった。

(2017.10.26 中島)
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