月が照らしてる(ピー)
お題箱より【ピーと寒い夜に毛布にくるまる話】
「…綺麗」
月が綺麗で寒い夜だった。
大きな月が明るく無名街を照らしていた。
夜空を見上げてしばらく月を見ていた。
「#なまえ#!!」
後ろから声が聞こえて振り返ると、真っ赤な髪がこっちに走ってくる。
「こんばんわ、ピー」
「こんなところに居たのか」
「うん、月が綺麗で」
肩で息をしているピー、吐き出す息が白いことが気温が低いことを示していた。
隣に来たピーも空を見上げて「ホントだ」と零す。
「でも、夜も遅いし寒いだろ?そろそろ部屋に戻れ」
「うーん、でも、もう少し見ていたいなぁって」
「駄目?」っと首を傾げて問いかけると「うっ」と小さく唸るピー。
知ってるよ、ピーはお願い断れないってこと。
そういうところが優しくて、好き。
「・・・わかった、ちょっと待ってろ」
溜息を付いて、来た道を戻り、ひょいっと姿を消してしまった。
* * *
それから何分経っただろう。
徐々に昇っていた月、先程より小さくなってしまったが相変わらず明るい。
流石に身体が冷えてきてブルリッと肩が震えた。
そろそろ、戻らないと風邪引くかなぁ…。
すると、背後から毛布と腕が伸びてきて、そのままギュッと身体を包むように抱き締められる。
「おかえり」
「悪い、毛布探してたら遅くなった」
「ふふふ」
背中から暖かさが伝わる。
冷たくなった手もそっと握られた。
「ピーは暖かいね」
「#なまえ#が冷たいだけだろ」
そんな会話をして2人して月を見上げる。
ふっと小さい時にも寄り添って月を見た事を思い出す。
「なんか、子供のときもこんなことしたね」
「そうだな。それでよくスモーキーにさっさと寝ろって言われて」
「そうそう!ピー、注意されただけで泣いちゃうし」
「泣いてない!」
「泣いてたって!」
小さい時から隣に居るのはいつもピーだった。
「でも、流石に寒いからもう少ししたら部屋に戻るぞ」
「うん、ありがとう」
それは今も変わらない、多分これからも。
握られた手を強く握り返すと「寒いか?」と聞いてくる。
「ピーが居るから大丈夫」と答えたら「そうか」と笑う彼。
その顔が月明りに照らされて綺麗だなと思った。
(2017.10.26 中島)1/22
prev next△