グラスにキスを(平井)
付き合っていた彼に振られてやけ酒をしていた。
『誰かいい人居ないのー…』なんてカウンターに突っ伏していたら、隣に誰かが座る。
他にも空いてる席があるのになんでわざわざ隣に座るのだろうか、と考えながらチラリと視線を上げると隣に座ってる男と目が合った。
いや、男は体をこちらに向けてずっと見ていた。
パーマのかかった髪の毛、分厚い唇、肘を付きながらこっちを笑いながら見ていた。
「なーんだ、平井か」
仕事上でたまに会うその男は変わらずこっちを見たまま嫌味を言うように
「男に捨てられたか?」
なんて言ってくるもんだからムカついて体を起こし、「あんたに関係ないじゃん!」と声を荒げてその男に向き直る。
その男は私の腕を強く引き顔を近付けた。
「いい男、紹介してやるよ」
そう言って強引に押し付けられた唇と腰にまわる腕から逃げることが出来なかった。
(2017.12.12)
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