私のヒーロー(ユウ)
雨風の音がうるさい。
ふと無名街は大丈夫なのだろうか、と不安になる。
詳しく言えば無名街に居る”彼”が気になる。
ピョンピョン跳ねて鉄骨を渡り歩く身軽な彼。
こんな雨の日も彼はせわしなく動いてるのだろうか。
ガタガタっとベランダの方から音がする。
何事かと思いカーテンを開けると、笑って手を振る彼が立っていた。
「ユウ!?」
慌てて窓を開けると風で髪が乱れる。
「よっ」なんて笑う彼の手を引き、招き入れた。
彼は髪が乱れており、全身ずぶ濡れ状態。
大きいバスタオルを持ってきて濡れている髪を乾かす。
まるで大型犬を洗った後のように。
どうしたのかと聞くと目を合わせて首を傾げてみせた。
「台風くるんだろ?なまえのことが心配でさ!」
「そんなことより街の方心配しなよ!」
私の事より自分の方を心配してほしい。
そんな思いで話すとキョトンとした顔をするユウ。
「なんで?」
「なんでって…」
首を傾げながら話し出す。
「無名街はスモーキーやタケシ居るから大丈夫だけど、名前の傍には誰もいないだろ?」
「だからオレが一緒に居てやんの」
ニカッと歯を見せて笑う彼。
自分が心配されているなんて思ってもいなかった。
くすりっとつられて笑ってしまう。
「ありがとう」
「ど〜いたしまし!」
ずぶ濡れの彼にバスタオルを渡したとはいえ、このままでは風邪を引いてしまう。
「お風呂入れてくるね、待ってて」
部屋に彼を残してお風呂の蛇口を捻る。
あ、着替えあるかなぁ。入ってもらってる間に乾燥機かけたらいいのかな…。
ぐるぐると思考を巡らせていると「なぁー、」と後ろから声が聞こえて振り返る。
「別にシャワーだけでいいんだけどー」
「っ!?なんで脱いでんの!」
上裸で現れた彼の顔面に石鹸を投げつけた
(2017.12.14)
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