別れてくれて(∞コブラ)
診断メーカーお題【別れてくれて、ありがとう】
『別れよっか』
『えっ』
突然の別れの言葉に言葉が出なかった。どうしてと言う言葉が頭を占める。
『私、この街を出てくんだ』
そう言って淋しげに笑うなまえさん。就職が決まったと聞いた時は無限のみんなでお祝いをした。あの時はまさか外に出ていくとは思っていなくて。
『どうしても行くんすか』
詰まる言葉。
『うん、多分そのまま帰って来ないと思うから』
遠くを見ていたなまえさんがこちらを振り向く。
『だから、別れよう』
今にも泣きそうな彼女を思いっきり抱き締めた。嫌だとわがままを言いたかった。
しかし、彼女の重みになってしまう。
唇を噛み締めて彼女との別れを受け入れた。
***
あれから何年が経っただろう。
「久しぶり」
久々にあった彼女は前よりも美人で。
大きな腹部を見て拳をギュッと握り締めた。
「おめでとう、ございます」
「ありがとう」
お腹をさする彼女を見て胸の奥が締め付けられる。
「コブラ」
昔と同じ、優しい声が俺の名前を呼ぶ。
「あの時、別れてくれて、ありがとう」
ふんわりとした笑顔。
「あの時、別れてなかったらずっと引きずって前に進めなかったかも」
幸せそうな彼女の笑顔を見てまた唇を噛み締めて、一呼吸おいてから口を開く。
「なまえさんが幸せそうでよかった、です」
今、俺は上手く笑えているだろうか。
(2017.12.17)1/22
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